ヤンキーを名乗る三人は、トップになりたい!
恋
ついにあと一週間後、トップコンテスト当日だ。
今日は創立記念日で学校が休みだから、私と杏ちゃんはテーマパークに遊びに来ている。
「由薇ちゃん! このカチューシャお揃いにしよう」
「可愛い、もちろんいいよ」
杏ちゃんとお揃いのものを買うくらい、私たちは仲良くなれた。
これも転校初日、杏ちゃんが勇気を出して話しかけてくれたおかげなんだなぁと思うと、胸があたたかくなる。
「ねね、由薇ちゃん」
「どうしたの?」
「黒崎さんたちのサポーターになったって、本当なの?」
杏ちゃんが不思議そうに質問してきた。
「うん、そうだよ」
「そっかぁ、怖くないの? だって黒崎さんたち、ほとんどもうトップみたいなものでしょう?」
「言われてみれば確かに……。私も、最初は怖かったよ。でも話せば話すほど、根はいい人たちなんだなってことが分かったの」
蒼空は、自分のために強くなろうとしている。
かなでは、お母さんを支えられるくらいの力を手に入れようとしている。
黒崎俊は……どうして、トップになりたいんだろう。
「杏ちゃん。黒崎俊ってさーー」
「そこのお姉さーん!」
突然、二人組の男性に声を掛けられた。
「俺ら大学生なんだけど、いくつ?」
「ていうか二人超可愛いじゃん」
これ、いわゆるナンパってやつ!?
今までこんなことなかったから、私は唖然とする。
「俺、髪短いほうタイプ!」
「え、俺は黒髪ロングの子かなー」
「まじかよ、弱そうだし、押せばいけるんじゃね?」
ヒソヒソと話す男性たち。
私たちは怖くなって、その場を動けずにいた。
「ねぇ、二人とも、今彼氏とかーー」
「い、います!」
「え?」
「好きな人!! 大好きな人が、いますのでっ」
咄嗟に、そう言っていた。
好きな人なんて、大好きな人なんて、そんなの私にいるわけない。
だけど。
蒼空やかなでーー黒崎俊のこと、思い出したの。
「ゆ、由薇ちゃん、もう大丈夫なんじゃない?」
「あ、そ、そっか」
私たちは急いで走って逃げてきて、アトラクションに並んでいた。
未だに怖かったから、足が震えている。
「ありがとう、由薇ちゃん。さすが東院唯一の女子高校生だよ」
「あはは、そんなことないよ」
「ところで……好きな人って誰!?」
ぐっ、と喉に言葉が詰まる。本当は好きな人なんていないから……。
だけど杏ちゃんのきらきら輝いた瞳を見ると、今更嘘とも言えなくなってしまった。
「もしかして、あの三人にいるとか? 赤塚さん、白柳さん……黒崎さんだったりして」
「……杏ちゃんが恋したら、どういう気持ちになる?」
「え? うーんとね。私は胸がドキドキしたり、気がついたらその人のことを目で追っていたり、常に頭に思い浮かんじゃうかなぁ」
胸がドキドキ。
気がついたらその人のことを目で追っている。
常に頭に思い浮かぶ。
何故だろうか。私が三人に対する気持ちが、全部当てはまっている気がする。
ううん。三人じゃない。
きっと、黒崎俊に対する私の気持ちだ。
「……うん。私、黒崎俊のことが好きになっちゃった」
わがままで。意地っ張りで。俺様で。
案外不器用で。意外と優しくて。
そんな黒崎俊のことが、好きなんだ……。
「だよね、そうだと思った! 黒崎さん、トップになれるといいね」
「うん、それもそうだけど、私は三人にトップになってほしい」
恋も大切だけど、友情も同じくらい大切だと思うから。
私は黒崎俊のことが好きだけど、サポーターとして三人がトップになれることを、本番まで祈ろう……。
今日は創立記念日で学校が休みだから、私と杏ちゃんはテーマパークに遊びに来ている。
「由薇ちゃん! このカチューシャお揃いにしよう」
「可愛い、もちろんいいよ」
杏ちゃんとお揃いのものを買うくらい、私たちは仲良くなれた。
これも転校初日、杏ちゃんが勇気を出して話しかけてくれたおかげなんだなぁと思うと、胸があたたかくなる。
「ねね、由薇ちゃん」
「どうしたの?」
「黒崎さんたちのサポーターになったって、本当なの?」
杏ちゃんが不思議そうに質問してきた。
「うん、そうだよ」
「そっかぁ、怖くないの? だって黒崎さんたち、ほとんどもうトップみたいなものでしょう?」
「言われてみれば確かに……。私も、最初は怖かったよ。でも話せば話すほど、根はいい人たちなんだなってことが分かったの」
蒼空は、自分のために強くなろうとしている。
かなでは、お母さんを支えられるくらいの力を手に入れようとしている。
黒崎俊は……どうして、トップになりたいんだろう。
「杏ちゃん。黒崎俊ってさーー」
「そこのお姉さーん!」
突然、二人組の男性に声を掛けられた。
「俺ら大学生なんだけど、いくつ?」
「ていうか二人超可愛いじゃん」
これ、いわゆるナンパってやつ!?
今までこんなことなかったから、私は唖然とする。
「俺、髪短いほうタイプ!」
「え、俺は黒髪ロングの子かなー」
「まじかよ、弱そうだし、押せばいけるんじゃね?」
ヒソヒソと話す男性たち。
私たちは怖くなって、その場を動けずにいた。
「ねぇ、二人とも、今彼氏とかーー」
「い、います!」
「え?」
「好きな人!! 大好きな人が、いますのでっ」
咄嗟に、そう言っていた。
好きな人なんて、大好きな人なんて、そんなの私にいるわけない。
だけど。
蒼空やかなでーー黒崎俊のこと、思い出したの。
「ゆ、由薇ちゃん、もう大丈夫なんじゃない?」
「あ、そ、そっか」
私たちは急いで走って逃げてきて、アトラクションに並んでいた。
未だに怖かったから、足が震えている。
「ありがとう、由薇ちゃん。さすが東院唯一の女子高校生だよ」
「あはは、そんなことないよ」
「ところで……好きな人って誰!?」
ぐっ、と喉に言葉が詰まる。本当は好きな人なんていないから……。
だけど杏ちゃんのきらきら輝いた瞳を見ると、今更嘘とも言えなくなってしまった。
「もしかして、あの三人にいるとか? 赤塚さん、白柳さん……黒崎さんだったりして」
「……杏ちゃんが恋したら、どういう気持ちになる?」
「え? うーんとね。私は胸がドキドキしたり、気がついたらその人のことを目で追っていたり、常に頭に思い浮かんじゃうかなぁ」
胸がドキドキ。
気がついたらその人のことを目で追っている。
常に頭に思い浮かぶ。
何故だろうか。私が三人に対する気持ちが、全部当てはまっている気がする。
ううん。三人じゃない。
きっと、黒崎俊に対する私の気持ちだ。
「……うん。私、黒崎俊のことが好きになっちゃった」
わがままで。意地っ張りで。俺様で。
案外不器用で。意外と優しくて。
そんな黒崎俊のことが、好きなんだ……。
「だよね、そうだと思った! 黒崎さん、トップになれるといいね」
「うん、それもそうだけど、私は三人にトップになってほしい」
恋も大切だけど、友情も同じくらい大切だと思うから。
私は黒崎俊のことが好きだけど、サポーターとして三人がトップになれることを、本番まで祈ろう……。