呪われた村娘は王子様から溺愛されて死を選ぶ
王子様を愛した末に
クラルテは部屋を抜け出して出口を探す体力がさらになくなってきた。なんとか身体が動けるうちに逃げ出せるならそうしたかった。クラルテは部屋から抜け出し、出口を探す。
今日は城内を徘徊している信者が少なかった。クラルテは以前に裏口付近までやってきたことがあった。辺りには誰もいない。クラルテは裏口へと急ぐ。
クラルテは外へと出られる裏口のドアを見つけ表情が明るくなる。
「外に出られる!」
クラルテはドアを開けようとするが、開かない。近くにあった鍵を試すことにした。鍵は鍵穴に合ったが、ドアは開かなかった。
「あれ?」
早く抜け出したい気持ちで焦る。ドアを無理に開けようとするが、びくともしない。
「何をしているのかな」
レノーレジスがクラルテの後ろに立っていた。クラルテは驚いて距離を取る。
「よくここまで来たね。出口が目の前にあるのに残念。僕の信者でないと出られないよ」
レノーレジスは一枚の紙を見せる。紙には細かい文章が書かれ、大きく魔方陣のようなものが書かれている。
「呪術紙、見たことある? 僕の信者はこれで呪術誓約しているから出入り自由なんだよ。キミは出口を見つけても出られなかったんだよ。そんなことはどうでもいいや。諦めずに出口を探すなんてキミもしぶといね。もう弱って瀕死の状態でもいいのに。キミの王子様が迎えに来たから案内してあげる」
「えっ? ベランジェが迎えに来てくれたの?」
突然のことで面食らう。ベランジェが迎えに来てくれて、それを案内してくれると言う。ベランジェの元からさらった人物が素直に案内するのだろうかと疑う。
「そんなに警戒しなくてもいいのに。王子様に会いたいでしょ? ちゃんとついて来ないと置いて行くよ」
クラルテは半信半疑だが、先に歩き出すレノーレジスの後ろをついていった。
案内された場所は城外を出て近くにある朽ちた大聖堂だった。
大聖堂は長いこと放置されて脆くなっている入り口の壊れたドアと参列するための長椅子。ステンドグラスやバラ窓は割れている箇所がある。
クラルテはざわつくような気持ちになり、両腕をさする。大聖堂のはずなのに、ここにいると漠然とした不安や焦りを感じる。
ベランジェは本当に来るのだろうか。クラルテが期待と不安と緊張しながら待っている。
数分も経たないうちに軍服を着たベランジェが一人で大聖堂へやってきた。
クラルテは笑顔になり瞳を潤ませる。本当に来てくれた。見捨てられなかった。嬉しさがこみ上げてくる。
ベランジェの元へ行こうと足が動いたが、レノーレジスに腕を掴まれ引き留められる。力を入れているように見えないがレノーレジスの手を振りほどけない。
ベランジェはしっかりとした歩みで近づいてくる。その表情から強い意志を感じる。
「よく来たね。お一人かな」
ベランジェはレノーレジスの言葉に答えず、腰に下げている剣を引き抜いて差し向ける。
「クラルテを返せ」
眉根を寄せて険しい表情をしている。落ち着いた声で話しているが、少しの刺激で怒りが爆発するのを抑えているような表情をしている。
「人のものを取ったみたいに言わないでほしいな。王子が求めているのは本当にこの娘なのかな」
「何を言っている」
「よく確認したほうがいいんじゃない?」
クラルテとベランジェの目の前の光景が変わっていく。朽ちた大聖堂から別のものに変わっていく。
「なんだ……!?」
「なに、これ……」
クラルテとベランジェは頭を抱え、苦しみ出す。頭の中へ勝手に映像が流れ込んでくる。
「また、またこの夢……」
クラルテはその場にしゃがみ込む。何度も見た、ベランジェが別の女性を愛している夢に変わっていく。
今日は城内を徘徊している信者が少なかった。クラルテは以前に裏口付近までやってきたことがあった。辺りには誰もいない。クラルテは裏口へと急ぐ。
クラルテは外へと出られる裏口のドアを見つけ表情が明るくなる。
「外に出られる!」
クラルテはドアを開けようとするが、開かない。近くにあった鍵を試すことにした。鍵は鍵穴に合ったが、ドアは開かなかった。
「あれ?」
早く抜け出したい気持ちで焦る。ドアを無理に開けようとするが、びくともしない。
「何をしているのかな」
レノーレジスがクラルテの後ろに立っていた。クラルテは驚いて距離を取る。
「よくここまで来たね。出口が目の前にあるのに残念。僕の信者でないと出られないよ」
レノーレジスは一枚の紙を見せる。紙には細かい文章が書かれ、大きく魔方陣のようなものが書かれている。
「呪術紙、見たことある? 僕の信者はこれで呪術誓約しているから出入り自由なんだよ。キミは出口を見つけても出られなかったんだよ。そんなことはどうでもいいや。諦めずに出口を探すなんてキミもしぶといね。もう弱って瀕死の状態でもいいのに。キミの王子様が迎えに来たから案内してあげる」
「えっ? ベランジェが迎えに来てくれたの?」
突然のことで面食らう。ベランジェが迎えに来てくれて、それを案内してくれると言う。ベランジェの元からさらった人物が素直に案内するのだろうかと疑う。
「そんなに警戒しなくてもいいのに。王子様に会いたいでしょ? ちゃんとついて来ないと置いて行くよ」
クラルテは半信半疑だが、先に歩き出すレノーレジスの後ろをついていった。
案内された場所は城外を出て近くにある朽ちた大聖堂だった。
大聖堂は長いこと放置されて脆くなっている入り口の壊れたドアと参列するための長椅子。ステンドグラスやバラ窓は割れている箇所がある。
クラルテはざわつくような気持ちになり、両腕をさする。大聖堂のはずなのに、ここにいると漠然とした不安や焦りを感じる。
ベランジェは本当に来るのだろうか。クラルテが期待と不安と緊張しながら待っている。
数分も経たないうちに軍服を着たベランジェが一人で大聖堂へやってきた。
クラルテは笑顔になり瞳を潤ませる。本当に来てくれた。見捨てられなかった。嬉しさがこみ上げてくる。
ベランジェの元へ行こうと足が動いたが、レノーレジスに腕を掴まれ引き留められる。力を入れているように見えないがレノーレジスの手を振りほどけない。
ベランジェはしっかりとした歩みで近づいてくる。その表情から強い意志を感じる。
「よく来たね。お一人かな」
ベランジェはレノーレジスの言葉に答えず、腰に下げている剣を引き抜いて差し向ける。
「クラルテを返せ」
眉根を寄せて険しい表情をしている。落ち着いた声で話しているが、少しの刺激で怒りが爆発するのを抑えているような表情をしている。
「人のものを取ったみたいに言わないでほしいな。王子が求めているのは本当にこの娘なのかな」
「何を言っている」
「よく確認したほうがいいんじゃない?」
クラルテとベランジェの目の前の光景が変わっていく。朽ちた大聖堂から別のものに変わっていく。
「なんだ……!?」
「なに、これ……」
クラルテとベランジェは頭を抱え、苦しみ出す。頭の中へ勝手に映像が流れ込んでくる。
「また、またこの夢……」
クラルテはその場にしゃがみ込む。何度も見た、ベランジェが別の女性を愛している夢に変わっていく。