呪われた村娘は王子様から溺愛されて死を選ぶ
王子様のプロポーズ
クラルテがベランジェと出会ってから一ヶ月が経つ。
クラルテはベランジェが王子様であったことを知り、無礼な態度をとってしまったことを後悔している。
処刑されたらどうしようと不安に思っている。処刑されてしまうと思い頭を巡らせていると、王子様がこのような田舎の小さな村に二度も来るはずがない。クラルテは頭の中で無理矢理に結論を出して自分を説得させる。
しかしベランジェと過ごした朝を思い出すと、胸が温かくなる。思い出に浸るくらいは許してくれるだろうか。
そんなことを考えながらクラルテは夕食の買い物をしに村の市場へ歩いてやってきた。市場を歩いていると、向かいからやってきた馬に乗った男性が慌てている。
「大変だ! 国の軍がこっちに向かっている! ここに来るぞ」
ビクッっとクラルテは身体を大きく震わせる。市場にいた村人達はざわめく。田舎の小さな村になぜ軍がやってくるのか。
(まさか、わたしを捕まえに来た……?)
クラルテは王子様と知らずに無礼な態度を取ってしまった。クラルテは怖くなって買い物をせず走って帰り、教会へ向かった。教会内でクラルテは処刑されないようにと必死に祈る。
クラルテが必死に祈っていると、誰かが教会へやってきた。
「クラルテ、いるのかの?」
老牧師が開けっぱなしにされている教会の扉から中へ入り、クラルテを呼ぶ。祈りを捧げているクラルテの姿を見ると言葉を続ける。
「いたのか。王子様がいらっしゃるぞ。教会前で待っとれよ」
クラルテはビクッと身体を大きく震わせて返事をする。
クラルテは老牧師に言われた通りに教会前で立って王子様を待つ。顔面蒼白で両手を握り、冷や汗が流れてくる。何も考えられずに待っていると、王子様が来るという噂を聞いた村人達が教会の周りに集まっている。村人達が集まっているのも気づかないくらい、頭の中は真っ白になっている。
「いらっしゃったぞ!」
老牧師がクラルテへ声をかける。
(きた……!)
正装したベランジェが側近を連れてやってくる。近い場所で止まり、ベランジェは馬から降りてクラルテに近づく。王子様は間違いなくあの時に会った彼だ。
(本当に王子様だわ……)
正装をしているベランジェに見とれる一方、焦る気持ちは頂点に達する。
ベランジェがクラルテの前で立ち止まる。ベランジェは用意してきた言葉をクラルテに伝えようとするとーー。
「申し訳ございません!」
クラルテが大声で頭を下げて謝罪をする。
「……何を言っている」
突然謝られ、ベランジェは呆気に取られる。
「わたし、あなたがこの国の王子様と知らずに無礼な態度を……! どうか命だけは!」
クラルテは涙声で土下座をして謝罪する。ベランジェと村人達はクラルテが何を言っているのか分からず黙って見つめている。
クラルテは半べそをかいているようだ。ベランジェは可愛いと思い、密かに笑う。
ベランジェは小声で「泣くな」といい、クラルテの腕を掴み立たせる。クラルテへ「そこに立っていろ」と言うと、胸に手を当て跪く。村人達はざわつき、王子様に集中する。
「クラルテ・ドヌーヴ嬢。私は貴女を目にした瞬間、美しさの中に慈愛と真心を感じました。言葉を交わせば心が安らぎ、幸せを感じました。貴女と共にこれからの人生を歩みたく王都より馳せ参じました。何があろうとクラルテ嬢をお守りし、お傍を離れたり致しません」
ベランジェは一呼吸置き、最後の重要な言葉をクラルテへ伝える。
「クラルテ・ドヌーヴ嬢。私と結婚してくださいますか?」
ベランジェは小さなジュエリーボックスを開けると中には透明で輝く石が付いた指輪が入っている。
(けっこん……?)
半べそをかいて涙で潤んでいるクラルテは状況が飲み込めず、瞬きもしないで固まっている。
沈黙が続く。
「おい、何とか言えよ」
ベランジェは周りに聞こえないくらいの小声でクラルテに言う。
「はい……」
答えたクラルテの声は小鳥の声より小さい。ベランジェにはかろうじて聞こえたが、村人達には聞こえていない。
「もっとハッキリ言え」
ベランジェが表情を変えずに口だけ動かす。クラルテに威圧感が伝わる。
「はい!」
クラルテは反射的に声を大きくして答える。
「ありがとうございます、クラルテ嬢」
笑顔のベランジェはクラルテに指輪をはめ、立ち上がる。クラルテの今の言葉はベランジェのプロポーズを受けた返答としてとられた。村人達は拍手をし、喜びの歓声を上げる。
「どうなってるの?」
まだ状況が飲み込めていないクラルテはベランジェに肩を抱かれている。ベランジェはクラルテのことを気にせず、拍手と歓声を上げる村人達に笑顔で手を振っている。
クラルテはベランジェが王子様であったことを知り、無礼な態度をとってしまったことを後悔している。
処刑されたらどうしようと不安に思っている。処刑されてしまうと思い頭を巡らせていると、王子様がこのような田舎の小さな村に二度も来るはずがない。クラルテは頭の中で無理矢理に結論を出して自分を説得させる。
しかしベランジェと過ごした朝を思い出すと、胸が温かくなる。思い出に浸るくらいは許してくれるだろうか。
そんなことを考えながらクラルテは夕食の買い物をしに村の市場へ歩いてやってきた。市場を歩いていると、向かいからやってきた馬に乗った男性が慌てている。
「大変だ! 国の軍がこっちに向かっている! ここに来るぞ」
ビクッっとクラルテは身体を大きく震わせる。市場にいた村人達はざわめく。田舎の小さな村になぜ軍がやってくるのか。
(まさか、わたしを捕まえに来た……?)
クラルテは王子様と知らずに無礼な態度を取ってしまった。クラルテは怖くなって買い物をせず走って帰り、教会へ向かった。教会内でクラルテは処刑されないようにと必死に祈る。
クラルテが必死に祈っていると、誰かが教会へやってきた。
「クラルテ、いるのかの?」
老牧師が開けっぱなしにされている教会の扉から中へ入り、クラルテを呼ぶ。祈りを捧げているクラルテの姿を見ると言葉を続ける。
「いたのか。王子様がいらっしゃるぞ。教会前で待っとれよ」
クラルテはビクッと身体を大きく震わせて返事をする。
クラルテは老牧師に言われた通りに教会前で立って王子様を待つ。顔面蒼白で両手を握り、冷や汗が流れてくる。何も考えられずに待っていると、王子様が来るという噂を聞いた村人達が教会の周りに集まっている。村人達が集まっているのも気づかないくらい、頭の中は真っ白になっている。
「いらっしゃったぞ!」
老牧師がクラルテへ声をかける。
(きた……!)
正装したベランジェが側近を連れてやってくる。近い場所で止まり、ベランジェは馬から降りてクラルテに近づく。王子様は間違いなくあの時に会った彼だ。
(本当に王子様だわ……)
正装をしているベランジェに見とれる一方、焦る気持ちは頂点に達する。
ベランジェがクラルテの前で立ち止まる。ベランジェは用意してきた言葉をクラルテに伝えようとするとーー。
「申し訳ございません!」
クラルテが大声で頭を下げて謝罪をする。
「……何を言っている」
突然謝られ、ベランジェは呆気に取られる。
「わたし、あなたがこの国の王子様と知らずに無礼な態度を……! どうか命だけは!」
クラルテは涙声で土下座をして謝罪する。ベランジェと村人達はクラルテが何を言っているのか分からず黙って見つめている。
クラルテは半べそをかいているようだ。ベランジェは可愛いと思い、密かに笑う。
ベランジェは小声で「泣くな」といい、クラルテの腕を掴み立たせる。クラルテへ「そこに立っていろ」と言うと、胸に手を当て跪く。村人達はざわつき、王子様に集中する。
「クラルテ・ドヌーヴ嬢。私は貴女を目にした瞬間、美しさの中に慈愛と真心を感じました。言葉を交わせば心が安らぎ、幸せを感じました。貴女と共にこれからの人生を歩みたく王都より馳せ参じました。何があろうとクラルテ嬢をお守りし、お傍を離れたり致しません」
ベランジェは一呼吸置き、最後の重要な言葉をクラルテへ伝える。
「クラルテ・ドヌーヴ嬢。私と結婚してくださいますか?」
ベランジェは小さなジュエリーボックスを開けると中には透明で輝く石が付いた指輪が入っている。
(けっこん……?)
半べそをかいて涙で潤んでいるクラルテは状況が飲み込めず、瞬きもしないで固まっている。
沈黙が続く。
「おい、何とか言えよ」
ベランジェは周りに聞こえないくらいの小声でクラルテに言う。
「はい……」
答えたクラルテの声は小鳥の声より小さい。ベランジェにはかろうじて聞こえたが、村人達には聞こえていない。
「もっとハッキリ言え」
ベランジェが表情を変えずに口だけ動かす。クラルテに威圧感が伝わる。
「はい!」
クラルテは反射的に声を大きくして答える。
「ありがとうございます、クラルテ嬢」
笑顔のベランジェはクラルテに指輪をはめ、立ち上がる。クラルテの今の言葉はベランジェのプロポーズを受けた返答としてとられた。村人達は拍手をし、喜びの歓声を上げる。
「どうなってるの?」
まだ状況が飲み込めていないクラルテはベランジェに肩を抱かれている。ベランジェはクラルテのことを気にせず、拍手と歓声を上げる村人達に笑顔で手を振っている。