呪われた村娘は王子様から溺愛されて死を選ぶ
婚約パーティーと悲劇
日差しが強くて眩しい初夏の休日の午後。クラルテ、ベランジェ、ロズリーヌの予定が合い、城内のサロンで先日広報から依頼があったクラルテとベランジェのデート記事が完成して三人で見ることになった。
書籍でも記録は残されるが、国民にも伝えられるよう紙面でも作成し王室を始め国の各地へ配布している。
一面に喫茶店で仲良くデートをしている写真が大きく掲載されている。サロン・ド・テで笑い合ってお茶をしている写真、大聖堂内でステンドグラスを背景に手を取り合い、見つめ合っている写真が載っている。
(照れる。恥ずかしい……)
クラルテは仲の良い恋人同士のように撮られていて照れて恥ずかしいが嬉しい複雑な感情で記事の写真を眺めている。
「うふふ。何も聞かなくてもこれを見るだけで二人の関係が分かってしまうわね。ね、お兄様!」
ロズリーヌはニコニコとベランジェを見ている。
「よく覚えておけよ」
ロズリーヌは「分かってるわよ~」と言いながら紙面を眺めている。
紙面の見出しには「ベランジェ王子、婚約者クラルテ嬢を溺愛」と書かれている。
「まあ! 溺愛ですって! お兄様、本当にクラルテさんの事がお好きなのね」
ロズリーヌが記事の一文を指してベランジェをからかう。
ベランジェは短く「ああ」と答える。クラルテは顔を赤くする。
(わたし、ベランジェに溺愛されているんだ)
紙面という第三者の客観的な記述が好きな人に愛されているという事を認識させられる。クラルテは嬉しく、幸せな気持ちでいっぱいになる。
「学院中で話題になってたわ。特にご令嬢方に」
ロズリーヌが学院での様子を話す。彼女が通っている学院は貴族が多く必然的にそのような話題が多くなる。
ベランジェは数百年ぶりの男子の王位継承者なうえ、文武両道で整った顔立ちをしている。年頃の令嬢が注目するのは当然だ。
「俺が男子の王位継承者だから珍しがっているだけだろ。俺にはクラルテがいるんだ。もうその話題は控えろ」
ベランジェは度々ロズリーヌからこの話題を聞いては面倒くさく思っていた。
ベランジェには婚約者のクラルテがいる。彼女の前で令嬢の噂話など話題に相応しくない。
「そうよね。申し訳ありませんわ、クラルテさん」
ロズリーヌは頭を下げ、申し訳なさそうに謝罪する。
「いえ、わたしは気にしてないよ」
クラルテは学校へ行ったことがないので、学院中の噂がどんなものか想像できなかった。クラルテは村中の噂と考えるとすごい事なんだと想像する。
「大聖堂でのお写真も素敵よ。ここで結婚式を挙げるのね。いいなぁ~」
二人がデートで訪れた大聖堂。王族はここで結婚式を挙げることになっている。
大聖堂の記事の終わりに『お二人は見つめ合って未来を語らい、お幸せそうに大聖堂を後にされた』と書かれている。クラルテはその文章を読むと幸せな気持ちが溢れた。
「結婚式の前に婚約パーティー楽しみだわ。クラルテさんも楽しみよね!」
「楽しみだけど失敗しないか不安で……」
あと数日で婚約パーティーが行われる。特に心配なのはダンスだ。プロポーズ後にベランジェとダンスをすることになっている。
「俺がクラルテをリードするから安心しろ」
「当日会えるか分からないけど、クラルテさんとお兄様のダンスを拝見させていただくわ。婚約パーティーの王室広報誌はどんな見出しになるかしらね。溺愛以上があるかしら」
ロズリーヌはまたベランジェをからかう。
「言葉を作ってもらうしかないな」
クラルテは顔を赤くして手で隠す。
「お兄様ったら、クラルテさんが来てからすっかり受け答えが変わっちゃって」
ロズリーヌは以前の兄と比べてこれが愛なのかと実感した。
書籍でも記録は残されるが、国民にも伝えられるよう紙面でも作成し王室を始め国の各地へ配布している。
一面に喫茶店で仲良くデートをしている写真が大きく掲載されている。サロン・ド・テで笑い合ってお茶をしている写真、大聖堂内でステンドグラスを背景に手を取り合い、見つめ合っている写真が載っている。
(照れる。恥ずかしい……)
クラルテは仲の良い恋人同士のように撮られていて照れて恥ずかしいが嬉しい複雑な感情で記事の写真を眺めている。
「うふふ。何も聞かなくてもこれを見るだけで二人の関係が分かってしまうわね。ね、お兄様!」
ロズリーヌはニコニコとベランジェを見ている。
「よく覚えておけよ」
ロズリーヌは「分かってるわよ~」と言いながら紙面を眺めている。
紙面の見出しには「ベランジェ王子、婚約者クラルテ嬢を溺愛」と書かれている。
「まあ! 溺愛ですって! お兄様、本当にクラルテさんの事がお好きなのね」
ロズリーヌが記事の一文を指してベランジェをからかう。
ベランジェは短く「ああ」と答える。クラルテは顔を赤くする。
(わたし、ベランジェに溺愛されているんだ)
紙面という第三者の客観的な記述が好きな人に愛されているという事を認識させられる。クラルテは嬉しく、幸せな気持ちでいっぱいになる。
「学院中で話題になってたわ。特にご令嬢方に」
ロズリーヌが学院での様子を話す。彼女が通っている学院は貴族が多く必然的にそのような話題が多くなる。
ベランジェは数百年ぶりの男子の王位継承者なうえ、文武両道で整った顔立ちをしている。年頃の令嬢が注目するのは当然だ。
「俺が男子の王位継承者だから珍しがっているだけだろ。俺にはクラルテがいるんだ。もうその話題は控えろ」
ベランジェは度々ロズリーヌからこの話題を聞いては面倒くさく思っていた。
ベランジェには婚約者のクラルテがいる。彼女の前で令嬢の噂話など話題に相応しくない。
「そうよね。申し訳ありませんわ、クラルテさん」
ロズリーヌは頭を下げ、申し訳なさそうに謝罪する。
「いえ、わたしは気にしてないよ」
クラルテは学校へ行ったことがないので、学院中の噂がどんなものか想像できなかった。クラルテは村中の噂と考えるとすごい事なんだと想像する。
「大聖堂でのお写真も素敵よ。ここで結婚式を挙げるのね。いいなぁ~」
二人がデートで訪れた大聖堂。王族はここで結婚式を挙げることになっている。
大聖堂の記事の終わりに『お二人は見つめ合って未来を語らい、お幸せそうに大聖堂を後にされた』と書かれている。クラルテはその文章を読むと幸せな気持ちが溢れた。
「結婚式の前に婚約パーティー楽しみだわ。クラルテさんも楽しみよね!」
「楽しみだけど失敗しないか不安で……」
あと数日で婚約パーティーが行われる。特に心配なのはダンスだ。プロポーズ後にベランジェとダンスをすることになっている。
「俺がクラルテをリードするから安心しろ」
「当日会えるか分からないけど、クラルテさんとお兄様のダンスを拝見させていただくわ。婚約パーティーの王室広報誌はどんな見出しになるかしらね。溺愛以上があるかしら」
ロズリーヌはまたベランジェをからかう。
「言葉を作ってもらうしかないな」
クラルテは顔を赤くして手で隠す。
「お兄様ったら、クラルテさんが来てからすっかり受け答えが変わっちゃって」
ロズリーヌは以前の兄と比べてこれが愛なのかと実感した。