黒薔薇の悪女は、カピバラ侯爵様の餌付けに成功したらしい?
「う、レティーシャが作ったのか……。そ、そうか……。みどり……」
グラスを持ったまま暫く葛藤しているようだったが、一息吐いてから口を付けた。
「! うまい……」
「そ、そうですか、良かったです。スイスチャードと果物を潰して作ったんですよ」
ほっと胸を撫でおろす。
野菜嫌いだと思われるケリスに、野菜を食べてほしい。前世で毎日飲んでいたスムージーを思い出したのだ。
昨夜、調理場を借りて、乳鉢ですり潰して作った。
スイスチャードは玲奈にとっては馴染みのない葉物野菜だが、上手くできたようだ。
「え……? スイスチャード……? うっ、野菜なんて、家畜の食べるものじゃ……」
「ん? ケリス様? 何か、おっしゃいましたか?」
笑顔で圧をかけると、ケリスの肩がビクッと震えた。
「あ、いや、何も……」
「こちらもどうぞ。キャロットブレッドです。料理長に協力してもらって作りましたの」
ケリスはパンをちぎると、恐る恐る口に入れる。
「……ほのかに甘くて、人参臭くない……。うまいよ。レティーシャは料理が上手なんだな」
「ありがとうございます」
レティーシャというより玲奈です。
玲奈は作るのも食べるのも大好きだったので、ちょっとぽっちゃり気味だった。
同じ職場の好きな男性に『デブは無理』と言われ、見返したい一心でダイエットを始めた。
朝、出勤前にウォーキングし、休日はジムで鍛える。両親にはヘルシーな料理を教えてもらった。
努力が実って痩せた時、友達に可愛くなったと言われて嬉しかったな。
ケリスのこの姿はカピバラみたいで可愛いけれど、健康には良くないと思う。
だから、勝手にケリス様改造計画を遂行します。
「喜んでくださって嬉しいです。毎日朝食を作りますので、お散歩頑張りましょうね、ケリス様!」
「え……? マジか……」
ケリスの呟きは聞こえないことにした。
グラスを持ったまま暫く葛藤しているようだったが、一息吐いてから口を付けた。
「! うまい……」
「そ、そうですか、良かったです。スイスチャードと果物を潰して作ったんですよ」
ほっと胸を撫でおろす。
野菜嫌いだと思われるケリスに、野菜を食べてほしい。前世で毎日飲んでいたスムージーを思い出したのだ。
昨夜、調理場を借りて、乳鉢ですり潰して作った。
スイスチャードは玲奈にとっては馴染みのない葉物野菜だが、上手くできたようだ。
「え……? スイスチャード……? うっ、野菜なんて、家畜の食べるものじゃ……」
「ん? ケリス様? 何か、おっしゃいましたか?」
笑顔で圧をかけると、ケリスの肩がビクッと震えた。
「あ、いや、何も……」
「こちらもどうぞ。キャロットブレッドです。料理長に協力してもらって作りましたの」
ケリスはパンをちぎると、恐る恐る口に入れる。
「……ほのかに甘くて、人参臭くない……。うまいよ。レティーシャは料理が上手なんだな」
「ありがとうございます」
レティーシャというより玲奈です。
玲奈は作るのも食べるのも大好きだったので、ちょっとぽっちゃり気味だった。
同じ職場の好きな男性に『デブは無理』と言われ、見返したい一心でダイエットを始めた。
朝、出勤前にウォーキングし、休日はジムで鍛える。両親にはヘルシーな料理を教えてもらった。
努力が実って痩せた時、友達に可愛くなったと言われて嬉しかったな。
ケリスのこの姿はカピバラみたいで可愛いけれど、健康には良くないと思う。
だから、勝手にケリス様改造計画を遂行します。
「喜んでくださって嬉しいです。毎日朝食を作りますので、お散歩頑張りましょうね、ケリス様!」
「え……? マジか……」
ケリスの呟きは聞こえないことにした。