黒薔薇の悪女は、カピバラ侯爵様の餌付けに成功したらしい?
4 気になること
二人で朝のウォーキング……じゃなくて、散歩をしてから朝食を取るのが日課になった。
ケリスは最初は乗り気じゃなさそうだったが、結局付き合ってくれた。歩くスピードも、私について来られるようになった。
ガゼボのテーブルにつくと、侍女がグラスに赤いドリンクを注いだ。
「今日はトマトとベリーのスムージーにしてみました。こちらのスコーンもどうぞ。ジャムやクロテッドクリームが無くても、そのまま食べられますよ」
オートミールとドライフルーツで作ったスコーン。オートミールは食物繊維が豊富だし、腹持ちもいい。
ケリスはスムージーを口にしている。
努力の甲斐があり、ケリスの野菜に対する抵抗感は薄れてきたみたいだった。
私もスムージーを口に含む。程よい甘みと酸味が広がっていく。
「はぁ、おいしい。生き返る……」
爽やかな風が吹き抜けて、火照った身体を冷やしてくれた。木々や花々が揺れ、青空に鳥が舞い上がっていく。
庭園で、誰かと朝食を取る。何気ないことだけど、幸せを感じた。レティーシャだけだった時には気付かなかったことだ。
目の前のケリスに視線を移すと、彼は必死に前髪を押さえていた。
「ケリス様? どうしました? 大丈夫ですか?」
「あ、あぁ。問題ない……」
ケリスは風が止むと、何事もなかったように食事を再開した。
その長い前髪はずっと気になっていた。顔の半分覆われていて、瞳を見ることは出来ない。
デリケートなことだから、聞くわけにはいかない。いつか目を合わせることができるのだろうか。
そう思いながら、私はグラスを口に付けた。
ケリスは最初は乗り気じゃなさそうだったが、結局付き合ってくれた。歩くスピードも、私について来られるようになった。
ガゼボのテーブルにつくと、侍女がグラスに赤いドリンクを注いだ。
「今日はトマトとベリーのスムージーにしてみました。こちらのスコーンもどうぞ。ジャムやクロテッドクリームが無くても、そのまま食べられますよ」
オートミールとドライフルーツで作ったスコーン。オートミールは食物繊維が豊富だし、腹持ちもいい。
ケリスはスムージーを口にしている。
努力の甲斐があり、ケリスの野菜に対する抵抗感は薄れてきたみたいだった。
私もスムージーを口に含む。程よい甘みと酸味が広がっていく。
「はぁ、おいしい。生き返る……」
爽やかな風が吹き抜けて、火照った身体を冷やしてくれた。木々や花々が揺れ、青空に鳥が舞い上がっていく。
庭園で、誰かと朝食を取る。何気ないことだけど、幸せを感じた。レティーシャだけだった時には気付かなかったことだ。
目の前のケリスに視線を移すと、彼は必死に前髪を押さえていた。
「ケリス様? どうしました? 大丈夫ですか?」
「あ、あぁ。問題ない……」
ケリスは風が止むと、何事もなかったように食事を再開した。
その長い前髪はずっと気になっていた。顔の半分覆われていて、瞳を見ることは出来ない。
デリケートなことだから、聞くわけにはいかない。いつか目を合わせることができるのだろうか。
そう思いながら、私はグラスを口に付けた。