黒薔薇の悪女は、カピバラ侯爵様の餌付けに成功したらしい?
ケリスのことだから、もっとクッションみたいな感じなのかと思ったら、思いのほか男らしいガッシリとした胸板でびっくりした。
「ふっ、あはは。君はしっかりしてそうで、存外そそっかしいな」
ケリスが笑い出した。彼の乱れた前髪の奥にエメラルドグリーンの瞳が見えて、私は息を呑む。
滑らかなそう白い肌、すっと通った鼻筋。
何より、澄んだ瞳から目が離せない。
「キレイ……」
その呟きを聞いたケリスは、慌てて前髪を直そうとする。私はその手を思わず掴んでいた。
「もったいないです。こんなに綺麗な瞳なのに、隠しているなんて」
彼の瞳は揺れて、私から目を逸らした。
「……人の目が、怖くて……。真っ直ぐ見る自信が……無いんだ」
「ケリス様……」
「昔から……、太っていて根暗だから、馬鹿にされて。だからって、変わることもできない自分が、情けなくて……」
彼は繊細で、優しすぎるんだ。人の悪意を受け止めて、一人で傷ついている。
「あなたは悪くないのだから、堂々としてればいいんです!」
「……君は、変わらないな」
「え?」
「いや、何でもないよ」
私も彼の優しさに甘えていたんだ。チクリと胸が痛む。
彼を馬鹿にした奴らと同じことをした。それは許されないことだ。
「ふっ、あはは。君はしっかりしてそうで、存外そそっかしいな」
ケリスが笑い出した。彼の乱れた前髪の奥にエメラルドグリーンの瞳が見えて、私は息を呑む。
滑らかなそう白い肌、すっと通った鼻筋。
何より、澄んだ瞳から目が離せない。
「キレイ……」
その呟きを聞いたケリスは、慌てて前髪を直そうとする。私はその手を思わず掴んでいた。
「もったいないです。こんなに綺麗な瞳なのに、隠しているなんて」
彼の瞳は揺れて、私から目を逸らした。
「……人の目が、怖くて……。真っ直ぐ見る自信が……無いんだ」
「ケリス様……」
「昔から……、太っていて根暗だから、馬鹿にされて。だからって、変わることもできない自分が、情けなくて……」
彼は繊細で、優しすぎるんだ。人の悪意を受け止めて、一人で傷ついている。
「あなたは悪くないのだから、堂々としてればいいんです!」
「……君は、変わらないな」
「え?」
「いや、何でもないよ」
私も彼の優しさに甘えていたんだ。チクリと胸が痛む。
彼を馬鹿にした奴らと同じことをした。それは許されないことだ。