不老不死の魔女を愛した男は、不老不死になるため引き継ぎ転生を繰り返す

プロローグ

 魔女はここ100年、友達はいなかった。
 恋人はおろか、家族さえも。
 そんな魔女に青年は問う。

「不老不死になったら俺と結婚してくれるって言ったよな?」
「……は?」

 魔女はもう長いこと生きていたが、そんなことを言われたのは初めてだった。
 自分のために不老不死になる人がいること自体希少な話だろうが……。
 
 というかそんな話をした記憶は一切ない。
 こんなことで記憶の海に潜る呪文を唱えるのも億劫だ。魔女は息を吐いた後、青年を見据え言う。

「言ってない……多分。そもそも私と貴方の歳の差を考えたことはある?」
「歳の差は関係ない。俺たちは不老不死だからな」

 僅かに口角を上げた青年。
 
 何が気に入らなかったのか、魔女は容赦なく青年の頬にビンタを叩き込んだ。

 なかなか良い音が鳴った。
 魔女は満足気に痺れた手を振った。
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