不老不死の魔女を愛した男は、不老不死になるため引き継ぎ転生を繰り返す
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動物達と戯れているところに、1人の男がやってくる。
この森は自力で魔女の元へ辿り着けない迷いの森と称される場所。
そんな森を簡単に抜けてくる男など、あの男しかいないだろう。
唯一無断で入れるように許可されている男……カルロだ。
「不老不死になったら俺と結婚してくれるって言ったよな?」
「……は?」
帰ってきて早々、言った覚えのない言葉に咄嗟に反応できなかった。
間を置いて、言葉を探しながらアタナシアは言う。
「言ってない……多分。そもそも私と貴方の歳の差を考えたことはある?」
「歳の差は関係ない。俺たちは不老不死だからな」
僅かに口角を上げたカルロ。
言い負かしてやったぞとでも言いたげな表情に、アタナシアは大きくため息を吐いた。
そしてカルロに近づいたかと思えば、容赦なくカルロの頬にビンタを叩き込んだ。
なかなか良い音が鳴った。
アタナシアは満足気に痺れた手を振った。
「アタナシア……?」
頬を叩かれたことに驚きを隠せないカルロは、熱くなった頬に手を添え目を見開いている。
「いきなり帰って来たかと思えば寝言のようなことを……。まずは謝罪ではないのか?」
手紙を書かなくなった理由。
長い間放置しておいて、帰る際に連絡1つ寄越さず突然帰ってきた理由。
そして勝手に話を進めてしまう理由。
何もかもがアタナシアにストレスを与え続けていた。
「皆、不老不死になったら時間感覚がおかしくなるから、100年なんてあっという間だと思っている。だが私は違う。どれだけ年数を重ねても長く遠いものに感じるんだ」
動物達に森へ帰るよう手で案内した後、アタナシアはカルロを追い詰めていく。
「お前が私の前から旅立ち、手紙を書かなくなって何年経ったと思う? 10年だぞ」
カルロに手紙を出したが返事はなく。
仕方なくアヴィゲイルの結婚式に1人で参加して、幸せそうな2人を見てとても羨ましいと思った。
いろんな男に出会う機会があったが、どうも誰もしっくりこず。
アヴィゲイルに理想を聞かれた時にすぐに頭に浮かんだのはカルロだった。
恋愛対象として見ているつもりはなかったのに。
「いなくなった後に自覚して、触れられないことにもどかしくなって、6年だ」
お前のせいで気がおかしくなりそうだったよ。とカルロを家の壁まで追い詰めた。
「……そこまで俺のことを想ってくれていたのは驚いたな」
「手紙を書かなくなったのはわざとか?」
「違う。引き継ぎ転生を行う際に人に見られてな。上手いこと死ねなくて動けなかったんだ」
山奥で死のうとしていたカルロだったが、山菜を取りに来た知らない人に自殺を止められて転生失敗。
数年安静にして体は思うように動かせることになった。しかし後遺症が残り、引き継ぎ転生を繰り返すのも予定より遅くなってしまった。
手紙が溜まっていたのは知っていたが、それだけアタナシアに想われていることに嬉しくなってそのまま放置。
自身のことで頭を一杯にしてくれていると思うと嬉しいなどと純粋に喜んでいたのだ。
「それで、もういっそサプライズで行くことにしたわけだ」
「半分はわざとじゃないか。ムカつくやつ」
「でも好きだろう?」
しれっと言うカルロをアタナシアは強く睨んだが、アタナシアは怒ることに疲れた。
カルロの体に腕を巻き付けて、その温もりを感じてやっと帰ってきたことを強く実感した。
それが嬉しくてアタナシアは顔を緩ませ、背の高いカルロの頭を撫でた。
「おかえり、カルロ」
「ああ、ただいま。アタナシア」
カルロからのキスをアタナシアは拒むことなく受け入れたのだった。
動物達と戯れているところに、1人の男がやってくる。
この森は自力で魔女の元へ辿り着けない迷いの森と称される場所。
そんな森を簡単に抜けてくる男など、あの男しかいないだろう。
唯一無断で入れるように許可されている男……カルロだ。
「不老不死になったら俺と結婚してくれるって言ったよな?」
「……は?」
帰ってきて早々、言った覚えのない言葉に咄嗟に反応できなかった。
間を置いて、言葉を探しながらアタナシアは言う。
「言ってない……多分。そもそも私と貴方の歳の差を考えたことはある?」
「歳の差は関係ない。俺たちは不老不死だからな」
僅かに口角を上げたカルロ。
言い負かしてやったぞとでも言いたげな表情に、アタナシアは大きくため息を吐いた。
そしてカルロに近づいたかと思えば、容赦なくカルロの頬にビンタを叩き込んだ。
なかなか良い音が鳴った。
アタナシアは満足気に痺れた手を振った。
「アタナシア……?」
頬を叩かれたことに驚きを隠せないカルロは、熱くなった頬に手を添え目を見開いている。
「いきなり帰って来たかと思えば寝言のようなことを……。まずは謝罪ではないのか?」
手紙を書かなくなった理由。
長い間放置しておいて、帰る際に連絡1つ寄越さず突然帰ってきた理由。
そして勝手に話を進めてしまう理由。
何もかもがアタナシアにストレスを与え続けていた。
「皆、不老不死になったら時間感覚がおかしくなるから、100年なんてあっという間だと思っている。だが私は違う。どれだけ年数を重ねても長く遠いものに感じるんだ」
動物達に森へ帰るよう手で案内した後、アタナシアはカルロを追い詰めていく。
「お前が私の前から旅立ち、手紙を書かなくなって何年経ったと思う? 10年だぞ」
カルロに手紙を出したが返事はなく。
仕方なくアヴィゲイルの結婚式に1人で参加して、幸せそうな2人を見てとても羨ましいと思った。
いろんな男に出会う機会があったが、どうも誰もしっくりこず。
アヴィゲイルに理想を聞かれた時にすぐに頭に浮かんだのはカルロだった。
恋愛対象として見ているつもりはなかったのに。
「いなくなった後に自覚して、触れられないことにもどかしくなって、6年だ」
お前のせいで気がおかしくなりそうだったよ。とカルロを家の壁まで追い詰めた。
「……そこまで俺のことを想ってくれていたのは驚いたな」
「手紙を書かなくなったのはわざとか?」
「違う。引き継ぎ転生を行う際に人に見られてな。上手いこと死ねなくて動けなかったんだ」
山奥で死のうとしていたカルロだったが、山菜を取りに来た知らない人に自殺を止められて転生失敗。
数年安静にして体は思うように動かせることになった。しかし後遺症が残り、引き継ぎ転生を繰り返すのも予定より遅くなってしまった。
手紙が溜まっていたのは知っていたが、それだけアタナシアに想われていることに嬉しくなってそのまま放置。
自身のことで頭を一杯にしてくれていると思うと嬉しいなどと純粋に喜んでいたのだ。
「それで、もういっそサプライズで行くことにしたわけだ」
「半分はわざとじゃないか。ムカつくやつ」
「でも好きだろう?」
しれっと言うカルロをアタナシアは強く睨んだが、アタナシアは怒ることに疲れた。
カルロの体に腕を巻き付けて、その温もりを感じてやっと帰ってきたことを強く実感した。
それが嬉しくてアタナシアは顔を緩ませ、背の高いカルロの頭を撫でた。
「おかえり、カルロ」
「ああ、ただいま。アタナシア」
カルロからのキスをアタナシアは拒むことなく受け入れたのだった。