不老不死の魔女を愛した男は、不老不死になるため引き継ぎ転生を繰り返す
6
「これで完成」
「おお〜」
カルロは魔法統括部に申請をした後すぐに研究室へとやってきた。
今はエリン、ワイアット、トレバーの3人に調合薬の作り方や素材の場所を教えている。
普通の生徒であればカルロは教えること自体拒否していただろう。
しかし、この3人はカルロに媚びを売ることはなく、対等に接し、友達として隣に立てるくらいになりたいという欲望で側にいる。カルロもそのような友を望んでいたため、3人を特別鍛えているのだ。
一通り教え、休憩を挟んでいると、エリンは先ほどカルロの母親と名乗る女に睨まれたことを思い出す。
「カルロの母ですって言ってた人がグラウンドにいたけど、あれって本当なの?」
「産んだのはあいつだが……捨てた時点で俺はあの女を親とは認めない」
「確かカルロの見た目が自分とは違って不気味だからとかで捨てたんだろ? それなのにカルロが功績を立てたからって母親を名乗るって、サイテーだな」
「本当に酷いことだ。むしろアルビノは保護されるべき人財なのに。……失礼」
トレバーの失言に冷たい視線を送るエリンとワイアット。眼鏡を掛け直し、すぐにカルロへと謝罪するが、カルロは気にしていない。
この世界でアルビノは、かなりの魔力量を保持して生まれて来る希少種として扱われている。
だが、それは一部の人間しか知らない逸話。だからこそカルロの産みの親はただ自分達とは似ても似つかぬ容姿に嫌悪を示したのだ。
「問題ない。トレバーに教えてもらえるまで知らなかったし、教えてもらえてよかったと思っている」
「あ、ああそれならよかった……。話は変わるが少し前、魔女に挨拶へ行ったぞ」
「君たちが持ってきたとこは魔女に聞いた。俺へ感謝の言葉を伝えてきたんだが、もしかして俺からだと話したのか?」
「その方がスムーズだったんだ。魔女は俺らを追い出そうとしたんだぜ?」
「予想通りの対応だな」
魔女の話と魔女に渡したドラゴンについて、さまざまな話をした。
今は放課後で研究室は貸切にしていることもあり、一同はゆったりと過ごす。
そんな中、扉を勢いよく開け放ち入ってくる女子生徒が1人。
「お邪魔しますわぁ〜〜!!」
縦ロールが印象的でお嬢様言葉を発する姿に、そこにいた全員が嫌な顔をする。
理由はいたって簡単。
カルロの力や名声目当てで近づいてきており、周りにいる全員目の敵にしているからだ。
カルロが魔法学校に入学した当初は平民が〜と嘲笑っていたにもかかわらず、功績を上げ始めたところであからさまに媚を売り始めた。
何度も断っていると言うのに聞く耳を持たず、今もずっと求婚を繰り返している。
「今日こそ縦に頷いてもらいますわよ!」
「縦ロールだけに?」
「お黙り!」
ワイアットのおどけに女子生徒は間髪入れずに黙らせる。
「貴方のお義母様には結婚の許可はいただいておりますのよ。貴方に頷いてもらえればすぐにでも式をあげても良いと!」
誇らしげにする女子生徒だが、あくまでカルロが頷いたら叶う願い。もちろんカルロは縦に頷くわけがない。
「俺に母親はいないし結婚するつもりもない。ましてや俺の友人を尊重しない奴からの求婚なんて願い下げだ」
「そうだそうだ。カルロは魔女様一筋だし」
魔女という言葉に反応した女子生徒は訝しげに口を開いた。
「……以前から魔女、魔女と仰っていますが、もうかなりお年の方でしょう? 恋愛対象として見られてなどいないでしょう」
「俺は魔女の側にいられたらそれでいい」
「なんてこと……優秀な子を残さないだなんて」
今にも倒れそうな女子生徒。静かに後ろで控えていた護衛に支えられ、なんとか持ち直す。
気にもとめず本を読んでいたトレバーだったが、お年寄り発言に首を傾げた。
「魔女はかなり若そうな見た目だったが?」
「……若い魔女ですって?」
「見た目年齢は20代だな」
"見た目年齢は"と発言したカルロだったが、女子生徒はなぜかこの時点で20代の魔女が母親から無理やり子を連れ去り、カルロを魅了した凶悪犯として解釈した。
カルロも20代なのでもし20代の魔女だったとして、ほぼ同年の赤子が連れ去ったことになってしまうのだが……女子生徒は気づいていない。
「な、なんてことなの。魔の手からカルロ様をお救いしなければ……」
目の前のカルロに目もくれず、女子生徒はそそくさと部屋を出て行く。
やっと静かになった研究室。一斉に大きくため息を吐いた後、エレンがカルロを見る。
「ねぇ、あの人大丈夫かな。絶対おかしなこと考えてるよ」
「放っておけ。どうせ会えすらしないだろう」
「それもそっか。あの森って自力で魔女様の家にたどり着けないもんね」
「魔力量が魔女以上であれば可能ではあるがな」
魔女の魔力量を目の当たりにしているカルロ以外の3人は苦笑い。
どれだけあの女子生徒が優秀な血族だとしても魔女に敵うことはないだろう。
「魔女様以上の魔力量なんて無理無理。だってあの人、不老不死になったレベルの人だぜ?」
「カルロだってまだ引き継ぎ転生止まりだしな」
器の拡張について聞いたばかりの3人は乾いた笑みを浮かべ、ため息を吐く。
カルロの隣に立つと言いながら、一生かけても叶わないであろう目標に少し心配になってしまうほどだ。
「今度はカルロ連れて魔女様に会いに行きたいな」
「俺は1人で行きたい」
「つれない奴〜」
「おお〜」
カルロは魔法統括部に申請をした後すぐに研究室へとやってきた。
今はエリン、ワイアット、トレバーの3人に調合薬の作り方や素材の場所を教えている。
普通の生徒であればカルロは教えること自体拒否していただろう。
しかし、この3人はカルロに媚びを売ることはなく、対等に接し、友達として隣に立てるくらいになりたいという欲望で側にいる。カルロもそのような友を望んでいたため、3人を特別鍛えているのだ。
一通り教え、休憩を挟んでいると、エリンは先ほどカルロの母親と名乗る女に睨まれたことを思い出す。
「カルロの母ですって言ってた人がグラウンドにいたけど、あれって本当なの?」
「産んだのはあいつだが……捨てた時点で俺はあの女を親とは認めない」
「確かカルロの見た目が自分とは違って不気味だからとかで捨てたんだろ? それなのにカルロが功績を立てたからって母親を名乗るって、サイテーだな」
「本当に酷いことだ。むしろアルビノは保護されるべき人財なのに。……失礼」
トレバーの失言に冷たい視線を送るエリンとワイアット。眼鏡を掛け直し、すぐにカルロへと謝罪するが、カルロは気にしていない。
この世界でアルビノは、かなりの魔力量を保持して生まれて来る希少種として扱われている。
だが、それは一部の人間しか知らない逸話。だからこそカルロの産みの親はただ自分達とは似ても似つかぬ容姿に嫌悪を示したのだ。
「問題ない。トレバーに教えてもらえるまで知らなかったし、教えてもらえてよかったと思っている」
「あ、ああそれならよかった……。話は変わるが少し前、魔女に挨拶へ行ったぞ」
「君たちが持ってきたとこは魔女に聞いた。俺へ感謝の言葉を伝えてきたんだが、もしかして俺からだと話したのか?」
「その方がスムーズだったんだ。魔女は俺らを追い出そうとしたんだぜ?」
「予想通りの対応だな」
魔女の話と魔女に渡したドラゴンについて、さまざまな話をした。
今は放課後で研究室は貸切にしていることもあり、一同はゆったりと過ごす。
そんな中、扉を勢いよく開け放ち入ってくる女子生徒が1人。
「お邪魔しますわぁ〜〜!!」
縦ロールが印象的でお嬢様言葉を発する姿に、そこにいた全員が嫌な顔をする。
理由はいたって簡単。
カルロの力や名声目当てで近づいてきており、周りにいる全員目の敵にしているからだ。
カルロが魔法学校に入学した当初は平民が〜と嘲笑っていたにもかかわらず、功績を上げ始めたところであからさまに媚を売り始めた。
何度も断っていると言うのに聞く耳を持たず、今もずっと求婚を繰り返している。
「今日こそ縦に頷いてもらいますわよ!」
「縦ロールだけに?」
「お黙り!」
ワイアットのおどけに女子生徒は間髪入れずに黙らせる。
「貴方のお義母様には結婚の許可はいただいておりますのよ。貴方に頷いてもらえればすぐにでも式をあげても良いと!」
誇らしげにする女子生徒だが、あくまでカルロが頷いたら叶う願い。もちろんカルロは縦に頷くわけがない。
「俺に母親はいないし結婚するつもりもない。ましてや俺の友人を尊重しない奴からの求婚なんて願い下げだ」
「そうだそうだ。カルロは魔女様一筋だし」
魔女という言葉に反応した女子生徒は訝しげに口を開いた。
「……以前から魔女、魔女と仰っていますが、もうかなりお年の方でしょう? 恋愛対象として見られてなどいないでしょう」
「俺は魔女の側にいられたらそれでいい」
「なんてこと……優秀な子を残さないだなんて」
今にも倒れそうな女子生徒。静かに後ろで控えていた護衛に支えられ、なんとか持ち直す。
気にもとめず本を読んでいたトレバーだったが、お年寄り発言に首を傾げた。
「魔女はかなり若そうな見た目だったが?」
「……若い魔女ですって?」
「見た目年齢は20代だな」
"見た目年齢は"と発言したカルロだったが、女子生徒はなぜかこの時点で20代の魔女が母親から無理やり子を連れ去り、カルロを魅了した凶悪犯として解釈した。
カルロも20代なのでもし20代の魔女だったとして、ほぼ同年の赤子が連れ去ったことになってしまうのだが……女子生徒は気づいていない。
「な、なんてことなの。魔の手からカルロ様をお救いしなければ……」
目の前のカルロに目もくれず、女子生徒はそそくさと部屋を出て行く。
やっと静かになった研究室。一斉に大きくため息を吐いた後、エレンがカルロを見る。
「ねぇ、あの人大丈夫かな。絶対おかしなこと考えてるよ」
「放っておけ。どうせ会えすらしないだろう」
「それもそっか。あの森って自力で魔女様の家にたどり着けないもんね」
「魔力量が魔女以上であれば可能ではあるがな」
魔女の魔力量を目の当たりにしているカルロ以外の3人は苦笑い。
どれだけあの女子生徒が優秀な血族だとしても魔女に敵うことはないだろう。
「魔女様以上の魔力量なんて無理無理。だってあの人、不老不死になったレベルの人だぜ?」
「カルロだってまだ引き継ぎ転生止まりだしな」
器の拡張について聞いたばかりの3人は乾いた笑みを浮かべ、ため息を吐く。
カルロの隣に立つと言いながら、一生かけても叶わないであろう目標に少し心配になってしまうほどだ。
「今度はカルロ連れて魔女様に会いに行きたいな」
「俺は1人で行きたい」
「つれない奴〜」