白銀の子守唄 ~年下王太子の甘い執愛
今日は四歳になる王子の誕生日ということで一家揃って祝賀の夜会に招かれたのだが、両親はそれぞれ国王や女官長に用があって、マグダレーナは庭園を散歩しながら待つように言われていた。
とはいえ宴が始まるのは夕方になってからで、肝心の王子も今は昼寝の最中らしい。
母である王妃を失ってから寝込むことが多くなったそうで、悲しみのあまり食事もろくに喉を通らないとも聞かされていた。
「まだお小さいのに……お気の毒だわ」
しかし社交界へのお披露目も済ませていない十三歳のマグダレーナが、会ったこともない王子の役に立てるはずもない。実際にはこうして庭をそぞろ歩くくらいしかすることがなかった。
さらにしばらく歩いて、これ以上行ったらさすがに迷うかもしれないと思った時だ。
「あら?」
マグダレーナはふと足を止めて、辺りを見回した。子猫の鳴き声が聞こえたような気がしたのだ。
「やっぱり聞こえるわ」
耳をすませると、頼りなく悲しげな声が途切れ途切れに響いている。
ひょっとしたら親猫とはぐれて、必死に探しているのかもしれなかった。
「どこにいるの?」
子猫を驚かせてはいけない。マグダレーナは足音を忍ばせ、声のする低木の茂みの方へと歩いていった。
「猫ちゃん、大丈夫よ。怖がらないでね」
鳴き声に近づいたような気がして身を屈めた時、うずくまった小さな背中が見えた。
「まあ!」
ゆっくり顔を上げた相手を見て、マグダレーナは言葉を失った。
「あなたは――?」
子猫どころか見たこともないほど美しい女の子だったのだ。
とはいえ宴が始まるのは夕方になってからで、肝心の王子も今は昼寝の最中らしい。
母である王妃を失ってから寝込むことが多くなったそうで、悲しみのあまり食事もろくに喉を通らないとも聞かされていた。
「まだお小さいのに……お気の毒だわ」
しかし社交界へのお披露目も済ませていない十三歳のマグダレーナが、会ったこともない王子の役に立てるはずもない。実際にはこうして庭をそぞろ歩くくらいしかすることがなかった。
さらにしばらく歩いて、これ以上行ったらさすがに迷うかもしれないと思った時だ。
「あら?」
マグダレーナはふと足を止めて、辺りを見回した。子猫の鳴き声が聞こえたような気がしたのだ。
「やっぱり聞こえるわ」
耳をすませると、頼りなく悲しげな声が途切れ途切れに響いている。
ひょっとしたら親猫とはぐれて、必死に探しているのかもしれなかった。
「どこにいるの?」
子猫を驚かせてはいけない。マグダレーナは足音を忍ばせ、声のする低木の茂みの方へと歩いていった。
「猫ちゃん、大丈夫よ。怖がらないでね」
鳴き声に近づいたような気がして身を屈めた時、うずくまった小さな背中が見えた。
「まあ!」
ゆっくり顔を上げた相手を見て、マグダレーナは言葉を失った。
「あなたは――?」
子猫どころか見たこともないほど美しい女の子だったのだ。