白銀の子守唄 ~年下王太子の甘い執愛
第五章
「レーナ、こっちへ来て」
差し出された手を握り、マグダレーナはとまどいながら、フロリアンと一緒に銀色の扉を開けた。
「まあ!」
「今日から君はここで暮らすんだ」
「なんて……きれい」
目前には、ため息が零れるような光景が広がっていた。
白と金で上品に彩られ、手の込んだ美しい調度が設えられた広い部屋――そこは王太子妃となるマグダレーナのために新しく用意されたもので、フロリアンの居室と続き部屋になっている。
今まで使っていたところも立派だったが、くらべものにならないほど豪華で優美だ。
「さあ、中へ入ろう。婚礼は少し先になるけれど、父上のお許しもいただけたからね」
フロリアンは頬を赤らめ、艶やかな金茶色の髪に鼻先を埋めた。
先ほど二人は国王に謁見し、正式に結婚が認められたのだ。
修道院へ行く道や、父との話し合いにフロリアンが姿を見せたのは決して偶然ではなかった。
――実は君が城を出てから、ずっと動向を探らせていた。そんな真似をしたことをどうか許してほしい。
彼はマグダレーナが去った後も、どうしてもあきらめられず、婚約者たちに勝負を挑んでは打ち破り、次々と縁談を潰してきた。同時に侯爵家にも何度となく足を運び、両親に求婚の許しを願い続けてきたという。
はじめは結婚に反対していた国王も、それほどまでに一途な恋心に負け、ついに首を縦に振ったのだ。
婚礼が決まって、王宮の雰囲気は慌ただしくも華やいだものとなったが、マグダレーナはまだ夢を見ているような気がしていた。
自分が行き遅れたのは王太子のせいだったとしても、彼との年齢差はどうしようもないのに。
しかもやがては王妃となる身でありながら、ほとんど魔法が使えない。これでは国母として失格ではないだろうか。
差し出された手を握り、マグダレーナはとまどいながら、フロリアンと一緒に銀色の扉を開けた。
「まあ!」
「今日から君はここで暮らすんだ」
「なんて……きれい」
目前には、ため息が零れるような光景が広がっていた。
白と金で上品に彩られ、手の込んだ美しい調度が設えられた広い部屋――そこは王太子妃となるマグダレーナのために新しく用意されたもので、フロリアンの居室と続き部屋になっている。
今まで使っていたところも立派だったが、くらべものにならないほど豪華で優美だ。
「さあ、中へ入ろう。婚礼は少し先になるけれど、父上のお許しもいただけたからね」
フロリアンは頬を赤らめ、艶やかな金茶色の髪に鼻先を埋めた。
先ほど二人は国王に謁見し、正式に結婚が認められたのだ。
修道院へ行く道や、父との話し合いにフロリアンが姿を見せたのは決して偶然ではなかった。
――実は君が城を出てから、ずっと動向を探らせていた。そんな真似をしたことをどうか許してほしい。
彼はマグダレーナが去った後も、どうしてもあきらめられず、婚約者たちに勝負を挑んでは打ち破り、次々と縁談を潰してきた。同時に侯爵家にも何度となく足を運び、両親に求婚の許しを願い続けてきたという。
はじめは結婚に反対していた国王も、それほどまでに一途な恋心に負け、ついに首を縦に振ったのだ。
婚礼が決まって、王宮の雰囲気は慌ただしくも華やいだものとなったが、マグダレーナはまだ夢を見ているような気がしていた。
自分が行き遅れたのは王太子のせいだったとしても、彼との年齢差はどうしようもないのに。
しかもやがては王妃となる身でありながら、ほとんど魔法が使えない。これでは国母として失格ではないだろうか。