白銀の子守唄 ~年下王太子の甘い執愛
第二章
その日の空はいかにも初夏にふさわしく晴れ渡っていた。雲ひとつなく、吸い込まれてしまいそうなほどの蒼天だ。
マグダレーナは広々とした庭園の小径を歩きながら、笑顔で大きく息を吸い込んだ。陽光に照らされ、琥珀色の瞳に映る何もかもが輝いて見える。
「本当にすてきなお庭」
白やピンク、クリーム色、紫、真紅――目の前には色とりどりの薔薇が咲き乱れ、さらにその美しさを引き立てるようにたくさんの植物が工夫を凝らして配されていた。
マグダレーナが住む侯爵家の屋敷も庭の景観が有名だが、造りも咲いている花の種類も王宮の比ではなかった。これまでも何度か訪れているはずなのに、飽きることなくつい奥へと進んでしまう。
(あ)
園丁が見逃したのか、中には枯れかけている花もあった。
マグダレーナは微笑みながら、そっと花びらに触れる。
すると驚いたことに、たちまち咲き始めのころのように生き生きとした姿に戻った。
(よかった)
ロンデネルの娘はみな、生まれながらに何かしら魔力を持っており、マグダレーナのそれは衰えたものに生気を取り戻させることができる。
もちろんむやみやたらに使っていい力ではないし、ほとんどの者は家族や伴侶を支えることに利用している。しかし今は気持ちが浮き立って、少しだけ羽目を外してみたくなったのだ。
マグダレーナは広々とした庭園の小径を歩きながら、笑顔で大きく息を吸い込んだ。陽光に照らされ、琥珀色の瞳に映る何もかもが輝いて見える。
「本当にすてきなお庭」
白やピンク、クリーム色、紫、真紅――目の前には色とりどりの薔薇が咲き乱れ、さらにその美しさを引き立てるようにたくさんの植物が工夫を凝らして配されていた。
マグダレーナが住む侯爵家の屋敷も庭の景観が有名だが、造りも咲いている花の種類も王宮の比ではなかった。これまでも何度か訪れているはずなのに、飽きることなくつい奥へと進んでしまう。
(あ)
園丁が見逃したのか、中には枯れかけている花もあった。
マグダレーナは微笑みながら、そっと花びらに触れる。
すると驚いたことに、たちまち咲き始めのころのように生き生きとした姿に戻った。
(よかった)
ロンデネルの娘はみな、生まれながらに何かしら魔力を持っており、マグダレーナのそれは衰えたものに生気を取り戻させることができる。
もちろんむやみやたらに使っていい力ではないし、ほとんどの者は家族や伴侶を支えることに利用している。しかし今は気持ちが浮き立って、少しだけ羽目を外してみたくなったのだ。