別れた警視正パパに見つかって情熱愛に捕まりました
懸命に言葉を絞り出すと、彼はなんでもないような顔で答えた。
「俺は結婚なんてしていない。君と別れてからずっと独り身だ」
「え……そうだったんですか」
てっきり芹那と結婚したと思っていたが、どうやら違っていたようだ。
だからといって簡単にやりなおすとかそういう問題ではない。なんと言えばいいかと困惑している内に瞬が再び口を開いた。
「君もひとりで大輝君を育てているんだよな」
確信している言い方にギクリとする。その通りなのだが、独身と伝えた覚えはないのになぜわかってしまったのだろう。佳純の疑問に答えるように瞬は続ける。
「普通子どもが熱を出したら夫や家族に連絡するはずなのに、君にそういう素振りはなかった。アパートに着いて部屋まで行かなくても大丈夫かと聞いたら君は『いつもひとりでやってますから』と答えた。何より君は病院に問い合わせた電話で岡本と名乗っていた」
(しまった……さすが警察官の観察力。いや、私が迂闊すぎたのかもしれない)
きっと両方だろう。ぐうの音も出せずに固まっていると、やっと表情を和らげた瞬が優しい声を落とした。
「君は、昔から嘘が苦手なんだよ。無理しなくていい」
「鮫島さん……」
「俺は結婚なんてしていない。君と別れてからずっと独り身だ」
「え……そうだったんですか」
てっきり芹那と結婚したと思っていたが、どうやら違っていたようだ。
だからといって簡単にやりなおすとかそういう問題ではない。なんと言えばいいかと困惑している内に瞬が再び口を開いた。
「君もひとりで大輝君を育てているんだよな」
確信している言い方にギクリとする。その通りなのだが、独身と伝えた覚えはないのになぜわかってしまったのだろう。佳純の疑問に答えるように瞬は続ける。
「普通子どもが熱を出したら夫や家族に連絡するはずなのに、君にそういう素振りはなかった。アパートに着いて部屋まで行かなくても大丈夫かと聞いたら君は『いつもひとりでやってますから』と答えた。何より君は病院に問い合わせた電話で岡本と名乗っていた」
(しまった……さすが警察官の観察力。いや、私が迂闊すぎたのかもしれない)
きっと両方だろう。ぐうの音も出せずに固まっていると、やっと表情を和らげた瞬が優しい声を落とした。
「君は、昔から嘘が苦手なんだよ。無理しなくていい」
「鮫島さん……」