エリート警視正は愛しい花と愛の証を二度と離さない
 山谷リフォームはここのところ大型のリフォーム案件が多く、お客様とのやりとりや作成する書類も増えていた。
 大輝がいるため長い残業は出来ないからその分集中して処理し、他の従業員に迷惑をかけないよう心掛けてきたのだが、少し疲労が溜まっているのかもしれない。

 今日は特に忙しかったので昼休みは取らず、家から持参したおにぎりを片手にパソコン作業をしていたのだが、だるさでいつものように進まない。

(私、頑丈だけが取り柄なのに、この先年々無理がきかなくなってくるのかな。いやダメだ。これからも大輝のためにがんばらないと)
 
 佳純は自分を叱咤しパソコンに向き直った。

 進みは遅かったものの、今日の仕事はなんとか終えることができた。

「お先に失礼します」

 デスクから立ち上がった佳純の顔を見て、向かいの席に座っていた悦子が眉間に皺を寄せた。

「ちょっと、佳純ちゃん顔色悪くない?」

「え、顔に出てますか? 朝から少しだるかったからかも。でも、もう終わったから帰りますね」

 佳純は自分の頬を押さえて苦笑した。
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