エリート警視正は愛しい花と愛の証を二度と離さない
 玄関で降ろされた佳純はふらつきながら部屋に入り暖房を入れる。体温計で測ってみると三十八度。それは辛いはずだ。

「布団敷いたから横になって」

 瞬に促され、佳純は素直に布団に入った。

 彼が言ったとおり、大輝の世話はすべて瞬がこなしてくれたので佳純は寝ているだけでよかった。

 それだけではない。コンビニで買った飲み物をこまめに飲ませたり、冷却シートを貼りかえたりと佳純の面倒まで気を配ってくれた。

「寝れるなら少しでも眠った方がいい」

「ほんとうに……すみません」

 申し訳ないと思いながらも緊張の糸がゆるんだようだ。佳純はいつのまにか深い眠りに落ちていた。

 次に目覚めたとき、部屋は薄暗く静かだった。壁の時計を見ると、もうすぐ午前六時になろうとしていた。だいぶ長い時間昏々と眠り続けていたらしい。

 まだだるさはあるものの、熱っぽさは感じないし頭もすっきりした気がする。
 横を見ると、子ども用の布団で大輝が寝息を立てていて、反対側の畳の上には大きな身体が佳純に寄り添うように横たわっていた。
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