エリート警視正は愛しい花と愛の証を二度と離さない
(瞬さん、ずっと側にいてくれたんだ。ブランケット掛けてるけど寒くなかったかな……でもこうして見るとやっぱり大輝にそっくり)

 力の抜けた寝顔も綺麗で整っているが、ちょっとかわいいなんて思ってしまうのは失礼だろうか。
 
 瞬の寝顔を見るのは二回目だ。彼の腕の中で目覚めた初めての夜以来。

 あのときは立場や境遇や引け目、余計なことを考えずにただ純粋に彼を求め、好きでいられた。

(余計なこと、か……)

 すると瞬が身じろぎし、ゆっくり目を開けた。佳純は慌てて目を逸らす。

「……佳純、起きたのか」

「は、はい」

 彼は身を起こすと身体のこわばりを解すように両腕を伸ばした。

「畳の上で辛かったですよね。体痛くないですか?」

 大輝を起こさないよう気をつけながら小声で言うと、瞬も同じトーンで答えた。

「大丈夫だ。それより体調は?」

「おかげさまでだいぶ楽になりました」

 瞬は佳純の額に掌を乗せ「熱もなさそうだな」と安心した顔になる。

「ちょっと待ってて」

 立ち上がりキッチンに向かうと、スポーツドリンクの入ったコップを持って戻ってきた。
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