エリート警視正は愛しい花と愛の証を二度と離さない
「油断せず水分はきちんととって。今日はもちろん仕事は休んでくれ。体起こせるか?」

「はい」

 佳純は上半身を起こしてコップを受け取り、少しずつ喉に流していく。

「昨日は本当に助かりました。いつもより来る時間が早かったんですね」

「予定されていた会議が急遽無くなって、行ってもいいかとメッセージ入れていたんだが」

「え、そうだったんですか、ごめんなさい。忙しいのと体調が悪いのでちゃんと見てなかったです」

「いや、了承ももらわないで押しかけたのは俺だから。結果的には良かったが」

 瞬は佳純の布団の傍らに胡坐をかいて座った。

「大輝君、ずっと機嫌よかったけど、寝る前になって『ママとお話ししたい』ってグズグズし始めてなだめるのが大変だったよ」

 大輝にとっても母親が寝込むのは初めての経験だから、不安になったのだろう。

「ご面倒おかけしてすみませんでした……でも鮫島さん、小さい子のお世話慣れてるんですね」

 話の流れで前から疑問だったことを聞いてみる。

「兄夫婦のところに姪っ子がいるんだ。小さいころ懐かれていて、よく面倒見ていたから」

「姪っ子さんですか。かわいいでしょうね」
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