エリート警視正は愛しい花と愛の証を二度と離さない
「君は遠慮しすぎなんだ。ひとりでがんばろうとしないで、もっと頼ってくれ」

「鮫島さん……」

 頭を撫でられるとその心地よさに抗えなくなり、徐々に瞼が重くなっていく。
 眠気に身を任せたとき、零れたのは紛れもない本音だった。

「ありがとうございます……瞬さんが、いてくれてよかった……」

 一瞬彼の手が止まり、また労わるように動き出す。

「……おやすみ、佳純……してる」

 意識を手放す直前、額に冷たくて柔らかいものが触れた気がした。
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