エリート警視正は愛しい花と愛の証を二度と離さない
5.君を守りたい
「おやすみ佳純……愛してる」
佳純の額に唇を触れさせたら思わず気持ちが口をついて出ていた。
(ひさしぶりに佳純が名前で呼んでくれたから、浮かれてしまったな)
佳純は穏やかな表情で寝息を立てている。安心すると同時に昨日の辛そうな表情を思い出して胸が痛くなる。
(君はひとりで我慢してがんばりすぎるところがあるからな。昔からそうだった)
佳純の傍らに座りながら瞬は彼女との出会いに思いを馳せた。
当時瞬は、毎月十日に元上司である田端の月命日に墓参をしていた。
警察庁に入庁し一通りの研修や訓練、現場経験を終えた後、より経験を積みたいと希望し配属されたのが凶悪事件や難事件を警視庁捜査一課。当時五十代前半の田端は課長補佐をしており階級は警視。キャリア組に比べて階級が上がりにくいとされるノンキャリアの中で異例の出世を果たしていたのはその優秀さからだった。
佳純の額に唇を触れさせたら思わず気持ちが口をついて出ていた。
(ひさしぶりに佳純が名前で呼んでくれたから、浮かれてしまったな)
佳純は穏やかな表情で寝息を立てている。安心すると同時に昨日の辛そうな表情を思い出して胸が痛くなる。
(君はひとりで我慢してがんばりすぎるところがあるからな。昔からそうだった)
佳純の傍らに座りながら瞬は彼女との出会いに思いを馳せた。
当時瞬は、毎月十日に元上司である田端の月命日に墓参をしていた。
警察庁に入庁し一通りの研修や訓練、現場経験を終えた後、より経験を積みたいと希望し配属されたのが凶悪事件や難事件を警視庁捜査一課。当時五十代前半の田端は課長補佐をしており階級は警視。キャリア組に比べて階級が上がりにくいとされるノンキャリアの中で異例の出世を果たしていたのはその優秀さからだった。