別れた警視正パパに見つかって情熱愛に捕まりました
『私いつも一緒にいてくれる人がいいって気付いたんです。急に会えなくなったり、長い間会えないと、寂しいから』

(あれが、佳純の本音だったのか。それなのに俺はただ彼女の優しさに甘えて……結果愛想をつかされたというわけか)

 自分の傲慢さに呆れた。会えなくても離れていても彼女は当然自分を愛してくれているし、待っていてくれると思っていたのだ。

 結局、佳純と一度も連絡がとれないまま瞬はフランスに発つ。その後日本人としては極めてめずらしいインターポールの管理職としてとして現場を指揮し業務に忙殺される日々が続く。

 激務の中でもふわりとした笑顔はいつも心の中にあった。初めて心から愛した女性をそう簡単に忘れられるわけがなかった。
 彼女のイメージと最後に話した電話のギャップがどうしても埋められない。最後の電話を思い出す度に胸が痛んだ。

 男ができたというのは嘘だ。佳純はそんなことができる性格ではない。

 だったらなぜそんな嘘をついた上、引っ越しまでする必要があったのか。あんなに好きだったフラワーショップでの仕事を手放してまで。

 気になったのは瞬がフランスに行くと確信していた口ぶりだ。
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