別れた警視正パパに見つかって情熱愛に捕まりました
(まさか、内部の誰かが彼女に伝えたのか? でも何のために)

 時間が過ぎるほど佳純の言葉への違和感が大きくなっていく。そしてその感覚は希望でもあった。

 帰国したら佳純と話をしよう。なにがなんでも探し出す。そう決心した。

 約3年半後、無事成果を上げ任期を終えた瞬は帰国。東京の多摩地区で隠居生活をしている祖父に帰国の挨拶に行った帰り道、車を運転しながらふと思い出した。

(前に佳純が家族がこの辺りの霊園に眠っていると話していたな。お母さんが寂しくないように一年中花が咲く公園のような場所を選んだって言っていた。名前はたしか――)

 記憶力がいいと人からよく言われるが、佳純のことは特に余さず覚えている。

 調べてみるとやはり今いる場所から近かった。瞬はそちらの方向に車を向けた。佳純の家族の眠る場所で挨拶し、彼女に会わせてほしいと願うつもりだった。

 園内に点在するのは昔ながらの墓石ではなく地面に埋め込まれた小さなものだった。
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