別れた警視正パパに見つかって情熱愛に捕まりました
 この中から岡本家のものを見つけるのは難しいかもしれないと思いながら歩き始めてすぐ、目を引かれたものがあった。スイートピーとカスミソウが供えられた墓石、そこには佳純の両親と祖母と思われる名前が刻まれていた。
 花は新鮮で供えられたばかり――気づいた途端、心臓がドクリと跳ねた。

(もしかしたら――)

 瞬は慌てて周囲を見渡したが人影はない。それでも一縷の希望に縋り、早足で園内を探し回る。

 そこで見つけたのがコスモスの花に立つ佳純の姿。運命だなんて思うのは、自分らしくないだろうか。

 逸る気持ちを押さえつつ駆け寄った。少し痩せたようだが、かわいらしいままの佳純は案の定、驚きに固まっていた。
 
 しかし次の瞬間、彼女の足元にしがみついた小さな存在に自分が言葉を失うことになった。

(大輝を初めて見たときは、33年生きてきて一番驚いたな)

 いつのまにかカーテンの隙間から入る朝の光が明るくなっていた。

 奥側の子ども用布団には大輝がスヤスヤと寝ている。

(こうやって並んでいると大輝の寝顔は佳純に似ているな。ふたりともかわいい)
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