別れた警視正パパに見つかって情熱愛に捕まりました
6.もう一度手をとって
「パトカー!」

「ちょ、ちょっと待って大輝!」

 繋いだ手を振りほどき駆け出す大輝を佳純は慌てて追いかける。

 熱を出してから約一週間後の土曜の午後、すっかり元気になった佳純は瞬に誘われて東京、京橋にある博物館を訪れていた。
 ここは警視庁が運営する施設で、昔から現代まで、警察に関わる様々な情報や資料が展示されている

 エントランスにはパトカー、ホールには白バイやヘリコプターなどの警察車両の展示があり、大輝は大興奮だ。

「すごい、子ども用の制服の貸出サービスまであるんですね」

 受付の近くにかわいらしいサイズの制服が並んでいて、試着できると案内されていた。

「大輝君、あれ着てパトカーの前で写真撮るか」

 瞬に声をかけられ大輝は「うん!」と元気よく返事をした。

 受付に申し出て一番小さなサイズを貸してもらう。

「か、かわいすぎる……!」
 紺色の制服に袖を通し、帽子をかぶったちいさなお巡りさんを前に佳純は身悶える。すこしブカブカなのもかわいらしくスマートフォンの連写が止まらない。

「大輝君、敬礼できるか?」

「けいれい?」

「こうだ」
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