別れた警視正パパに見つかって情熱愛に捕まりました
 パトカーの前に立たせると瞬はピシッと敬礼してみせた。本職の敬礼だ。すると大輝は短い腕を一生懸命使って真似をする。

「かわいすぎる……」

 さっきから同じ感想しか出てこないが、実際かわいいのだからしょうがない。

「大輝こっち、こっち向いて!」

 佳純は夢中になって、さまざまな角度でシャッターを切る。

「ママの方見て、そう、かっこいいぞ」

 隣で瞬も目尻を下げて大輝に声をかける。

「写真、あとで俺にも送ってくれるか?」

「……はい」

 明るい声に佳純は素直に頷いていた。

 館内は他にも子供向けの体験コーナーや大人もためになる防犯知識の紹介などもありとても充実していた。

「さめしまさん、これなに?」

「これを使って犯人、悪い人を見つけるんだ」

 科学捜査の展示の前で瞬と大輝はガラスケースを覗き込んでいる。

 三歳の大輝には難しいものが多かったが、瞬は目線を合わせ、ときには抱き上げながら優しく説明していた。

(ああしてると親子にしか見えないな……って当たり前か。そもそも本当の親子なのに)
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