別れた警視正パパに見つかって情熱愛に捕まりました
 少し離れた場所で彼らを見ながら実感する。ふたりが当たり前に親子である機会を奪ったのは他でもない自分だ。そう思うと罪悪感で胸が苦しくなる。

 しかし今日、佳純はある覚悟を持って瞬の誘いを受けていた。

「都心の一等地にこんないい場所があったなんて初めて知りました」

「俺も来るのは初めてだったが、いい施設だったな」

 ひととおり見学を終え、施設を出た3人は少し早い夕食をとりに銀座に足を向けた。
 
 年末の休日、午後となればかなりの賑わいだ。もともとあまり都会の街には縁がないが、東京を出て4年、ほぼ近所から出たことがなかったので人の多さに圧倒されてしまう。

 大輝の方は博物館がよっぽど楽しかったのか、瞬に抱かれなから「パトカーがね、かっこよかったの」とおしゃべりが止まらなかった。

 瞬が予約してくれていたのは中央通り沿いのビルの中にある和食レストラン。子ども歓迎の明るい雰囲気のお店だ。しかも畳の個室を押さえてくれていたらしい。

 驚く佳純を前に瞬はメニューを差し出しながら言った。
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