別れた警視正パパに見つかって情熱愛に捕まりました
「そんなことが、あったなんて……だからあのとき俺がフランスに行くと知っていたんだな」

 佳純がすべて話し終えると瞬は深いため息をついた。

「直接確認すればよかったんです。でも聞けなかった。私と別れるつもりでフランス行きを話さなかったと突き放されるのが怖かったから。叔父のことだってそう。迷惑だと思われるって思い込んで」

 ずっと向き合ってこなかった。弱いから逃げた。再会後は瞬への想いすら曖昧にし続けた。

 でも、今佳純は初めてあらがおうとしている。

 4年間溶け出さないように心の中で凍らせておいた幸せな記憶と愛情は、彼の深い優しさと誠実さでどんどん溶かされてしまった。流れ出るのをがまんできないくらいに。

「今だって、叔父のことは何も解決していません。あなたにふさわしい人はいくらでもいる。でも……そばにいるのを許してもらえませんか」

「佳純」

 肩を引かれたと思った刹那、佳純は瞬に柔らかく抱きしめられていた。

「4年前のこと、君が話せなかったのは、俺がふがいなかったせいだ」

「鮫島さん……」
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