エリート警視正は愛しい花と愛の証を二度と離さない
7.二度目の夜
 年が明け、佳純は瞬と共に山谷家を訪れていた。

 瞬は柚希の両親を前にこれまでの経緯を説明した。4年前のすれ違いや再会の、そしてこれからのことを。

「佳純に大変な思いをさせてしまったのは僕がいたらなかったせいです。申し訳ありませんでした。そしてこれまで佳純を支えて下さりありがとうございました」

 瞬は和室の畳の上で深々と頭を下げた。

 最初は驚いていた柚希の両親だが、瞬が丁寧に説明していく中で納得してくれた。

「柚希は詳しいことを話さなかったけど、そういうことだったのね。でも引っ越しちゃうなんて……寂しいわ」

 悦子が深いため息をついた。

「すみません。急に迷惑でしたよね」

 佳純は近いうちに山谷リフォームでの仕事を辞め、瞬の住む東京のマンションに移り住むつもりでいた。

 相変わらず瞬は忙しい時間を縫ってアパートに来てくれる。しかし、彼の負担を考えると早めに一緒に暮らし始めた方がいいと考えたのだ。

「仕事の方はいいのよ、また新しい人をさがせばいいんだから。それよりあなたたちに会えなくなると思うと……」
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