別れた警視正パパに見つかって情熱愛に捕まりました
『そこで佳純と大輝を俺の家族だと周知させたい』

 瞬の強い意志を感じ、佳純も腹を括った。

『わかりました、がんばってご挨拶します』

 そう答えたものの、改まった場所に着ていく服などない。それを分かっていた瞬が柚希に大輝を預かってもらい、買いに行かないかと提案してくれたのだ。

「もう少し行った先にあるはずだ」

「は、はい」

 当然のように繋がれている瞬の大きな掌の温もりに頬を熱くしながら、佳純は歩調を合わせる。

 昔はふたりで出かけるたびこうして手を繋いで歩いた。でも、久しぶりすぎて妙に意識してしまうのだった。

 瞬に連れられて入ったのは重厚な店構えの大型セレクトショップだった。

 高級感溢れる店内に圧倒されている佳純をよそに、瞬はスタッフに声をかけた。

「お願いしていた鮫島です」

「鮫島様ですね、お待ちしておりました」

 上品な笑顔を浮かべた女性スタッフに店の奥のソファーに案内される。

 すぐに服をえらぶのかと思っていた佳純はなにがなんだかわからないまま、瞬と並んで腰かけた。
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