別れた警視正パパに見つかって情熱愛に捕まりました
「ここは義姉が贔屓にしている店らしい。俺は女性の服装に詳しくないから事前に相談して彼女を通して店に希望を伝えておいた」

「ということは、お兄様やお義姉は……」

「兄も義姉も早く君と大輝に会いたいと言っていたよ」

 もう彼の兄と義姉には佳純たちの存在が知られていたようだ。

「覚悟していたとはいえ、緊張します」

 顔を強張らせる佳純を安心させるかのように、瞬は佳純の手に掌をポンポンと乗せた。

「大丈夫、両親を含め君が思うほど怖い人たちじゃないから」

 そうこうしているうちに何着かのワンピースやスーツがかかったハンガーが運ばれてきた。

「改まった席にふさわしい、落ち着きすぎず派手さは控えた上品なものと伺っておりましたので」

 なかなか難易度が高い注文だったと思うがさすがプロだ。スタッフは的確に用途を捉えていてどの服を選んでも問題なさそうだ。

「どれも素敵だから悩んでしまいますね」

 こんなセレブな買い物のしかたをしたことがないので、内心ドキマギしながら立ち上がる。

「君が好きなのを選んだらいい」
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