別れた警視正パパに見つかって情熱愛に捕まりました
 腕まくりをしてユキはにっこり笑った。

 カットの後はしっかりトリートメントを施し、髪のうるおいをキープするドライヤーのかけかたやヘアピンを使った簡単なヘアアレンジにテクニックも教えてもらった。

「あなたの肌色的には、ファンデはベージュ系よりピンクの入ったオークルの方が馴染むわ。で、アイシャドウはこっち。この色合いならドラックストアでも手に入りやすいわよ」

 ユキは細かく説明しながら佳純のメイクを仕上げていく。佳純は必死にスマートフォンでメイク道具の写真を撮ったり、メモを残した。

「さ、これで終わり! どうかしら」

 ケープが外したユキに手鏡を渡された佳純は、自分の顔を見て思わず呟いた。

「魔法みたい……」

 派手ではないが透明感と柔らかい女性らしさがある仕上がりだ。平凡な顔にちゃんとメリハリが出ている。
 自分にあった適切なメイクをするとこんなに綺麗になれるなんて。感動でいろんな角度に鏡を動かす。髪もこなれた雰囲気のハーフアップスタイルで女性らしさがアップした気がする。

「ありがとうございます! 本番もなるべくこれに近づけるようにがんばります」
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