別れた警視正パパに見つかって情熱愛に捕まりました
「なんで、こんな……サプライズみたいな……っ」

 佳純は喉を詰まらせる。受け取った花束を膝の上に置くと顔が埋もれてしまいそうだった。涙の膜で赤い色彩が滲んでいく。

「きちんとプロポースしていなかったから男としてけじめをつけたかったんだ……俺は君に『四年前と変わらず好きだ』と伝えたけれど、訂正していいか」

 花束を抱えていた佳純の手に瞬の掌が重なった。こちらを見る目はこの上なく真剣だった。

「あのときよりもっと佳純を愛してる――結婚してほしい」

 瞬の言葉は佳純の胸に奥に刺さり、甘く弾けた。

 こんなドラマのような求婚を自分がされるなんて、想像すらしていなかった。じわじわと広がっていく温かい気持ちに抗わずに佳純は口を開いた。

「私も愛しています……瞬さんとずっと一緒に生きていきたい」

 精いっぱいの想いを震えながら返すと目から涙のしずくがぽろりと零れた。

「ありがとう」

 瞬はほっとしたように微笑み、立ち上がると指で佳純の涙をぬぐってくれていた。

「……佳純」

 やがて瞬はゆっくり覆いかぶさってくる。影が重なる瞬間、佳純はそっと目を閉じた。

「……ん」
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