エリート警視正は愛しい花と愛の証を二度と離さない
「今日、同じホテルでプロポーズしようかって考えないわけじゃなかった。でも過去にこだわるんじゃなくて、新しい場所からやり直したいと思ったんだ」

「瞬さん……」

 瞬は佳純の首元を優しく撫でる。

「そのくせ、今日君がこのワンピースを着ているのを見たらあの日のことを思い出してたまらなかった……似ているから」

「……よく、覚えてましたね」

「俺は記憶力がいいんだよ。君のことは特にね」

 瞬はそう言うとゆっくり唇を重ねてきた。

「ん、あ……」

 再び始まったキスはあっという間に深くなり、ふたりはお互いを求めるように息を乱していく。

「皺になるな……脱がすよ」

 すでにはだけていたワンピースは瞬によって器用に取りはらわれる。下着姿になった佳純を瞬は丁寧に解していく。巧みに動く指先、熱い掌と唇。佳純は彼の意のままに溶かされていく。

 とうとう身に纏う布がなくなったとき、佳純は身を捩り両手を顔で顔を覆う。

「佳純?」

 内ももに口付けていた瞬が動きを止め、上半身を起こした。

「あの、私、変じゃないですか……子どもも産んでるし」
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