エリート警視正は愛しい花と愛の証を二度と離さない
 あのときの叔父の形相は今でも思い出せる。それなのにやけにあっさりと問題が解決しすぎている気がして佳純は違和感を覚えた。

(でも、良かった……ってことでいいんだよね)

 叔父が犯罪者でないのなら瞬に迷惑をかけなくて済む。そう考えて佳純は安堵の息をついた。

「だが今になって連絡をとってきたのも、電話番号を知っているもの気持ちが悪い。叔父さんには俺が直接話す機会を作るから、君は何を言ってきても絶対に会ってはだめだ」

「はい、わかりました」

 瞬の言葉に佳純は素直に頷いた。

「それと、明日のパーティだが、斉藤主任も出席する予定になっている」

 瞬は少し困った表情で話題を変えてきた。

「斉藤さんが……」

 彼女自身は田端との縁はないが、父親は現在警視副総監になっており、お供で母親と共に顔を出すらしい。今回のパーティでは家族同伴が認められているのでおかしいことではなかった。
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