エリート警視正は愛しい花と愛の証を二度と離さない
「待ち伏せなんて人聞きが悪いな。たまたまここに用事があって今から帰るところだったんだ。だから会えて驚いてるんだ」

 叔父はなんの悪びれもなく答えた。

(絶対に違う。叔父さんは最初から私がここに来るのをわかっていて、待ち伏せしていたんだ)

 昨日の電話といい、叔父は佳純の情報を把握している。しかもそこまでする目的が分からない。やっぱりお金が欲しいのだろうか。得体のしれない恐怖で背筋が寒くなる。

「せっかく会えたんだし、少し話さないか? 昨日も言ったがお前と話がしたいんだ」

 懇願するような声になる叔父に対して佳純はなるべく短い言葉で答える。

「これから予定があるの」

 瞬にも叔父とは会ってはいけないと言われていた。二度と関わらないでほしい。

 今度こそ叔父から離れようと足を踏み出した佳純に叔父は声を浴びせた。

「おい、言うことを聞かないならパーティ会場に乗り込んで騒ぎを起こすぞ」

 佳純はピタリと立ち止まる。やはり叔父は佳純がパーティに出席するのを知っていてここに来ていたのだ。
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