エリート警視正は愛しい花と愛の証を二度と離さない
「いきなりなに、しかもは雑な紹介。あ、俺、波多野っていいます。鮫島とは長い付き合いです」

「あっ、岡本佳純です。よろしくお願いします」

 爽やかに笑う波多野に、佳純も慌てて頭を下げた。
 
 瞬を見送り、佳純たちは会場の隅に並んだ休憩用の椅子に座った。大輝は足をぶらぶらさせながら手提げからパトカーのおもちゃを取り出している。

 気さくな雰囲気の波多野は話しやすく、瞬の同期ということもありすぐに佳純も打ち解けた。

「急に婚約して、3歳の子供もいるなんて上に報告したもんだから、みんな興味津々だったんですよ」

「ですよね……」

 それは佳純も思っていた。客観的には連れ子のいる女と結婚する形になるのだ。いろいろ詮索されるのではないかと。でも、瞬はまったく気にしないと言っていた。

「このパーティ家族出席も可にしたの、鮫島なんですよ」

「瞬さんが……」

「そう。きっと、こういう場にふたりを連れてきて、認めさせようと思ったんですよ。百聞は一見に如かずってね。思惑通りじゃないですか? だってお似合いのふたりだし……さっきも思ったけど、やっぱりあいつに似てるなぁ」

 波多野はまじまじと大輝の顔を覗き込んだ。
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