別れた警視正パパに見つかって情熱愛に捕まりました
 しばらくの沈黙のあと口をひらいたのは斉藤副総監だった。

「鮫島警視正、岡本さん。本当に申し訳なかった。鮫島くんに想いを寄せていたのを知っていて娘かわいさで公私混同した。芹那が暴走したのはそのせいだ」

「お、お父さん?」

 頭を下げる父親に唖然としている芹那に斉藤副総監は鋭い声を向けた。

「お前も謝りなさい」

「え、でも」

「謝るんだ」

 有無を言わせない父親の圧力に押され、芹那は蚊の鳴くような声で「ごめんなさい」と頭を下げたのだった。



「はぁー、いろいろありましたね」

 夕刻、マンションに帰宅した佳純は部屋着に着替え、ソファーで脱力する。肺の空気をすべて出す勢いで溜息をついていると、風呂からあがった瞬が苦笑しながら隣に腰を降ろした。

「本当にいろいろあったな、疲れただろう」

「正直、疲れましたけど無事終わってよかったです」

 あの後すぐに斉藤副総監は芹那を連れて夫人と共に会場を去り、パーティはなにもなかったかのように和やかに進んだ。
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