別れた警視正パパに見つかって情熱愛に捕まりました
 好物の唐揚げやジュースで機嫌がなおった大輝は、たくさんの大人たちに愛想を振りまいていた。
 結果、今は電池が切れたように子供部屋のベッドで寝てしまっている。

「でもせっかくの田端さんの会だったのに、お騒がせして申し訳なかったですね」

「まあ、奥さんも気にするなと言ってくれていたし。いいんじゃないか」

 田端の妻を探して謝罪したのだが、逆にいいものを見せてもらったと笑われた。どうやらあのとき一部始終を見られていたらしい。

『人食い鮫も嫁さんにはデレデレなんだなーて、あの人もニヤニヤしてますよ』

 生花のアレンジは『リビングに飾らせてもらいます』ととても喜んでくれた。

(それにしても、あの後はいたたまれなかったな)

 いまさらながら佳純は恥ずかしくなる。多くの人たちにあのシーンを見られてしまっていたようで、会う人会う人冷やかされたのだ。

 波多野は『庁内中、嫁を息子を溺愛している鮫島警視正の噂で持ちきりになるなー』と楽しそうに笑っていた。

「しかし、いいところをぜんぶ大輝にもっていかれたな」

 瞬はソファーに背中を預けて目を細める。
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