エリート警視正は愛しい花と愛の証を二度と離さない
 佳純の叔父は実家の法律事務所に呼び出し、弁護士の兄同席のもと二度と佳純に近づかないと一筆書かせた。
 あの男は肩書や権力に弱いタイプのようでかなりの効果がありそうだ。万一近づいてきたら全力で排除するつもりでいる。

 芹那のことも叔父のこともどうでもいいと気にしていなかった佳純だが、瞬の実家に挨拶に行く時はかなり緊張していた。

(心配ないとあれほど言っておいたのに。まあ、ガチガチになっている佳純もかわいかった……なんて言ったら怒られるか)

 瞬は事前に両親と兄に佳純と大輝の存在を報告していた。全員一様に驚きあきれ、激怒した――瞬に対して。

『妊娠した恋人を放って海外に行くなど、知らなかったじゃすまされないぞ!』

『4年間、ひとりで子どもを産んで育てるのはどんなに大変だったか』

 特に両親は佳純に同情し、母など泣きだしてしまう始末だった。

 そんな背景があったので、佳純の顔を見るなり両親は『うちの愚息が』と謝り倒していた。
 予想外の対応に佳純は『私が勝手にしたことで瞬さんは悪くありませんと』瞬を擁護するのが大変な様子だった。
 それを微笑ましく見守っていたらさらに両親に怒られたが。
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