エリート警視正は愛しい花と愛の証を二度と離さない
 元々家柄や釣り合いなど気にする人たちではない。

『今まで大変な苦労をしてきたと思います。これからは瞬、そして私たちもいる。家族としてなんでも頼ってください』

 父にそう言われた佳純は『はい』と頷きながら涙をこぼしていた。

 元々物怖じしないタイプの大輝はあっという間に両親に懐き、両親も孫にデレデレだ。
『かわいかったころの瞬が帰ってきたみたい』とそれはもうかわいがり倒している。

 兄夫婦や姪との対面もすませ、佳純は彼らともいい関係を築きつつある。

 引っ越しが無事完了し、婚姻届けを提出したのが約二週間前。晴れて自分たちは夫婦になった。

 婚姻届けの署名欄記入は瞬の父、そして佳純のたっての願いで柚希にお願いした。

 引っ越し当日、山谷家は総出で見送ってくれた。すっかり涙もろくなってしまった佳純は、柚希と抱き合って泣いていた。
 琉生は大輝の頭を撫で『また遊ぼうな!』と明るく送り出してくれた。

 恩人の彼らにはこれからも、大輝の成長を見せに行きたいと思っている。

(あとは結婚式だな。佳純は遠慮していたが俺の気がすまない。なるべく早く計画を立てよう)
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