エリート警視正は愛しい花と愛の証を二度と離さない
「……私こそ、瞬さんの恋人にしてくれてありがとうございます」

 心の支えだった祖母を失っても、寂しさに押しつぶされずに前を向いてこれたのは瞬のおかげだ。この人に出会えたことを佳純は心から感謝していた。

「俺は、これからもずっと君といたい」

 せつないほどに真摯な言葉と頬に落ちるキスを佳純はうっとりと受け入れていた。

「はい……私も瞬さんと一緒にいたい」

 彼の胸に甘えるように頬を寄せると、抱きしめる腕に力が籠った気がした。

 大好きな人に初めてを捧げたこの日の幸せを、佳純は一生忘れないと思った。
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