別れた警視正パパに見つかって情熱愛に捕まりました
「あ、あの?」

 困惑する佳純に芹那は表情を変えずに言った。

「いきなりでごめんなさい。鮫島警視と別れてほしいの」



 帰りついたアパートの部屋は冷え切っていた。 

 急いで暖房のスイッチを入れ佳純はコートを着たままベッドの前に座り込み、芹那に渡された名刺をポケットから取り出した。

「瞬さんがそんなすごい人だったなんて」

 なじみのある警視庁の黄色いマスコットキャラクターがプリントされたそれをじっとながめる。

 芹那の話によると、瞬は難関試験である国家公務員試験一種を取得し警察庁に入庁した官僚らしい。
 しかも日本最高峰の国立大学出身で、入庁当時からで将来を嘱望されている超エリート。早くから警視庁に出向し現場を学びスピード出世し、今は刑事部捜査支援分析センターのセンター長として全体を統率しているそうだ。

「……なにも知らなかったなぁ、しかもフランスに行くかもって。インターポールってアニメの世界のことだと思ってた」

 瞬は国際刑事警察機構、インターポールへの派遣が検討されており、決まれば本部のあるフランスに渡る。抜擢したのは芹那の父で警察庁の幹部らしい。
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