別れた警視正パパに見つかって情熱愛に捕まりました
 佳純は町の小さな花屋“フラワーショップ ラチルス”を営んでいた両親の元に生まれ、常に花がそばにある環境で育った。

 父は一流国立大学を卒業した頭のいい人で、広告代理店に就職したが三年で辞め花屋を志したという。
 
 きっかけは父が関わったアパレルブランドの広告。様々な種類の花を使ってブランドイメージを表現する企画だった。
 花の納入とデザインを担当する業者として企画会議に参加したのが母だった。
 当時母は有名フラワーショップの新米フラワーデザイナーとして勉強中で、この時も先輩について参加したそうだ。

 父はお酒が入るといつも『花の世界にもお母さんにもあっという間に惹かれたんだよ』と幸せそうに笑っていた。
 いつか自分の花屋を持つのが夢だという母に共感した父は会社を辞めると、全国展開するフラワーショップチェーンに転職し開業のための知識を得た。もともと頭がよくて器用な人だったので時間はそれほどかからなかったようだ。
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