別れた警視正パパに見つかって情熱愛に捕まりました
 信じられない告白だった。健康器具メーカーで営業をしている叔父は顧客から預かった金の一部を着服したという。一度成功したことで味をしめ何度も繰り返していたらしい。

 着服した金額は三百万にのぼると聞き、佳純は息をのんだ。

「そんな、大金……何に」

「競馬で当ててすぐ返すつもりだったんだ、でも、うまくいかなくて」

 どうやらすべての金がギャンブルに消えていたらしい。

「経理の担当者が勘づいたらしいんだ。多分近々呼び出される。でも、すぐに金を返せばなんとかなるかもしれない。返せなかったら俺はきっと会社をクビになる。それだけじゃない、訴えられたら逮捕されるかもしれない」

 “逮捕”という物騒な言葉に佳純は目を見開いた。

「俺のしたことは業務上横領になるんだ。だけど、今のうちに全額補填すれば――」

「待って、私にそんな大金あるわけないでしょう」

 身勝手な叔父の言い分に思わず口を挟む。

「お前は若いじゃないか。稼ぐ方法はいくらでもある。身体を担保に金を貸してくれるところもあるんだ」

「……叔父さん、何を言っているの?」

 あろうことか、叔父は金を作るために佳純に身体を売れと言いたいのだ。
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