別れた警視正パパに見つかって情熱愛に捕まりました
 茫然とする佳純の両肩を叔父は縋るように掴んできた。

「頼む、助けてくれ。佳純だって親族が犯罪者になるのは嫌だろう?」

 叔父の言葉が佳純の胸を貫く。

「……犯罪者」

「そうだよ。お前、男がいるんだろう? 犯罪者が家族にいる女なんて好んで付き合おうとも思わないし、結婚ならなおさらだ」

 だから身体を使えばいいという考えになるなんて、意味が分からない。いつしか佳純は黙り込んでいた。

「おい、佳純?」

 叔父はいぶかしげな顔で肩から手を外した。その瞬間佳純は叔父を立たせて玄関ドアを開ける。

「出てって、もう来ないで」

 叔父の背中を両手で押しながら佳純は声を絞り出した。

「お、おい」

「お金は準備できない」

「お前、叔父さんが警察に捕まってもいいのか!」

 佳純は答えず背中を押す。叔父が転がり出たのを確認しドアを閉めすぐに鍵を掛けた。
 叔父はしばらくドアを叩いてブツブツ言っていたが「また来るからな」と言い残し去っていった。

 アパートの外階段を下りていく足音を聞きながら、佳純はその場にへたりこんだ


 
 今日は成人の日。新成人へのお祝い用のブーケがよく売れた。中には逆に育ててくれた両親への感謝を贈りたいと購入していく人もいた。
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