転生したガーデナーは、悪役令嬢の夢を見ない
ま、私は部屋に籠もって本を読めるのでラッキーなんだけど。
「申し訳ありません。私は今から湯浴みをして、すぐに部屋に戻ります」
「イリス・エーグルは素直でよろしいわね。クレオメガ・ワストル。あなたも素直に従いなさい。ここでは我が儘は許されません」
彼女のお茶会云々は、ただの我が儘として、扱われてしまった。
まぁ我が儘なんだけどね。
貴族令嬢を預かる寮なので、ある程度の規律はしっかりと守られないといけない。
寮母先生は悪くはない。そして、この面倒な彼女との言い合いに乗ってしまった私にとっては、ありがたい存在になったのだった。
***
「あ、今日のことって、親に報告とかいっちゃうのかなぁ。余計な心配はさせたくないんだけど。あとで確認しておこ」
湯浴みを終え──広い浴槽があるお風呂は最高だった──部屋に戻った。
飲み物などは使用人が用意してくれるらしく、ベルを鳴らす引き紐の場所でオーダーを分けてある。
その紐は階段下に繋がっていて、どこの誰が何をオーダーしたかが分かるらしい。
お茶については、あらかじめ茶葉を渡しておくと希望のものを淹れて貰え、そうじゃなければ規定の茶葉を使う。
私は味にそんなにこだわりがないので特に渡してないけれど、これ、領地でお茶を作ってる人とか、上手く売り込めば良い商売になるんじゃないかしらねぇ。
「さ、本を読む時間にしましょ」
借りてきた六十七冊の本が山積みになっているワゴンを見ながら、胸が高鳴る。
「今日何冊くらいいけるかな」
ぱらりと開いた『毒虫の習性』のカラフルな色合いに、クレオメガを思い出す。
「毒虫はカラフルなんだなぁ」
人間も虫も、やたらと眩しいのには近付かない方が良さそうだ、なんて思ってしまった。
「申し訳ありません。私は今から湯浴みをして、すぐに部屋に戻ります」
「イリス・エーグルは素直でよろしいわね。クレオメガ・ワストル。あなたも素直に従いなさい。ここでは我が儘は許されません」
彼女のお茶会云々は、ただの我が儘として、扱われてしまった。
まぁ我が儘なんだけどね。
貴族令嬢を預かる寮なので、ある程度の規律はしっかりと守られないといけない。
寮母先生は悪くはない。そして、この面倒な彼女との言い合いに乗ってしまった私にとっては、ありがたい存在になったのだった。
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「あ、今日のことって、親に報告とかいっちゃうのかなぁ。余計な心配はさせたくないんだけど。あとで確認しておこ」
湯浴みを終え──広い浴槽があるお風呂は最高だった──部屋に戻った。
飲み物などは使用人が用意してくれるらしく、ベルを鳴らす引き紐の場所でオーダーを分けてある。
その紐は階段下に繋がっていて、どこの誰が何をオーダーしたかが分かるらしい。
お茶については、あらかじめ茶葉を渡しておくと希望のものを淹れて貰え、そうじゃなければ規定の茶葉を使う。
私は味にそんなにこだわりがないので特に渡してないけれど、これ、領地でお茶を作ってる人とか、上手く売り込めば良い商売になるんじゃないかしらねぇ。
「さ、本を読む時間にしましょ」
借りてきた六十七冊の本が山積みになっているワゴンを見ながら、胸が高鳴る。
「今日何冊くらいいけるかな」
ぱらりと開いた『毒虫の習性』のカラフルな色合いに、クレオメガを思い出す。
「毒虫はカラフルなんだなぁ」
人間も虫も、やたらと眩しいのには近付かない方が良さそうだ、なんて思ってしまった。