転生したガーデナーは、悪役令嬢の夢を見ない
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 ホロ爺と一緒に作っていた大豆が収穫できた、と、発酵グーツ石と小麦と一緒にこちらに届けられたのが一昨日。
 大豆はしっかりと水に浸けておいて貰った。

 それを半分は蒸して、もう半分は茹でるようにお願いをし、平行して、小麦を炒る。私が台所に立つことは、誰も止めない。
 すでに美味しい料理の提案をしまくっているからね。

 料理人達は、今度は私が何をするのかを、楽しみに待っているけど、今回ばかりはすぐに結果は出ないのだ。

 そうして、本来は麹菌などを使うところを発酵グーツ石を入れ込んで味噌や醤油を作る。
 そもそもの仕込み自体も時間はかかるけど、実際に味噌や醤油を作るには発酵の時間としてかなりの時間が必要だ。

 ただ、それをこの発酵グーツ石を使うと短縮できるんじゃないかと考えている。
 麹菌の仕事自体を発酵グーツ石が担えることは、実はマージョナル帝国の書物で読んで確信に近い予想をしていて、早く試したくて仕方がない。

「お嬢さま、大豆を煮るのにはまだまだ時間がかかりますから、休憩していてください」

 料理長のその言葉に、ありがたく部屋に戻ることにする。
 明日は登城しないといけないので、その支度が必要なんだよね。
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