転生したガーデナーは、悪役令嬢の夢を見ない
デリーはそれだけを言うと、また眠るように熱にうなされてしまったらしい。
「もちろん、医師にきちっと調べさせていたわ。でも、まさか病に異国も何もあると思わなかったから、大急ぎで各国の医師を呼び寄せたの」
「それで」
「マージョナル帝国の医師が、その病を当て、すぐに薬を出してくれたわ。投薬して三日で、熱はもちろん、不調なことが全て消えていったのだから、驚いたどころではなくってよ」
マージョナル帝国の医師ということは、帝国の特有の病か、あるいは、帝国で知られている、他の国の病か。
──例えば、正妃の母国、セルート大公国とかの。
「その病はどのような病だったのですか?」
「グレズストン病、と言っていたわ」
「グレグストン……」
聞いたことがない。
マージョナル帝国の本をあとで調べてみることにしよう。
口ぶり的に、レテシア殿下はあまり詳細を理解してはいないようだ。
「それでね。その後あの子は、身を守るためにエーグル辺境伯家にしばらく隠れ住みたい、と言い出したの」
「我が家……ですか」
「ええ。どうして突然エーグル辺境伯家なのかとも思ったけれど、もともと私とエーグル辺境伯夫人であるテレイアは従姉妹だからかしら、と」
デリーがそれで王都から遠い、辺境伯領の中でも我が家を選ぶのは理にかなっている。
私が彼でも、その選択肢があるのであれば、そう考えるだろう。つまり──
「デリーは、一連の病が、命を狙われてのことだと考えた、ということですよね」
「もちろん、医師にきちっと調べさせていたわ。でも、まさか病に異国も何もあると思わなかったから、大急ぎで各国の医師を呼び寄せたの」
「それで」
「マージョナル帝国の医師が、その病を当て、すぐに薬を出してくれたわ。投薬して三日で、熱はもちろん、不調なことが全て消えていったのだから、驚いたどころではなくってよ」
マージョナル帝国の医師ということは、帝国の特有の病か、あるいは、帝国で知られている、他の国の病か。
──例えば、正妃の母国、セルート大公国とかの。
「その病はどのような病だったのですか?」
「グレズストン病、と言っていたわ」
「グレグストン……」
聞いたことがない。
マージョナル帝国の本をあとで調べてみることにしよう。
口ぶり的に、レテシア殿下はあまり詳細を理解してはいないようだ。
「それでね。その後あの子は、身を守るためにエーグル辺境伯家にしばらく隠れ住みたい、と言い出したの」
「我が家……ですか」
「ええ。どうして突然エーグル辺境伯家なのかとも思ったけれど、もともと私とエーグル辺境伯夫人であるテレイアは従姉妹だからかしら、と」
デリーがそれで王都から遠い、辺境伯領の中でも我が家を選ぶのは理にかなっている。
私が彼でも、その選択肢があるのであれば、そう考えるだろう。つまり──
「デリーは、一連の病が、命を狙われてのことだと考えた、ということですよね」