転生したガーデナーは、悪役令嬢の夢を見ない

第26話 デリーの病

 帰り道に、王城の図書館に案内して貰った。

「この札があれば、いつでも図書館にフリーパスだから、直接馬車でここに来て構わない。僕に声はかけて欲しいけどね」

 そう言って、図書カード代わりなのか、紐の付いた木札を渡された。
 そこには、私の名前と、領地と家門、それに第一王子婚約者、と書き込まれている。
 図書カードというよりは、身分証明書の代わりのようだ。

「今日も寄っていくだろ?」
「もちろん」

「僕はもう戻らないといけないから、フェデルあとは頼むね。図書館にも僕の配下の騎士を二人おいておくから、何かあればあそこにいるカトスルとポクルッスに声をかけてくれ」

 呼ばれた二人は、少し離れた位置から礼をする。
 二人とも赤い髪で、少し長く伸びた毛先を左右それぞれに片縛りしている。おそらくその左右で、皆は見分けているのだろう。

 一卵性なのかとてもよく似ている。目の端が少しだけ睫毛が長いのがカトスル、右耳の上の付け根が少しだけ深いのがポクルッス、と覚えておく。

 デリーが去った後に、マージョナル帝国の本を探す。
 かの国の病について調べることにしたのだ。ついでに、周辺国についても、病に関する本で読んだことがないものは全て借りることにした。

「……ん? これは」
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