転生したガーデナーは、悪役令嬢の夢を見ない
 今まで見たことのない文字の表紙に出会う。
 とはいえ、それが何語であっても私には関係ない。全ての言語が読めちゃうからね。

 ありがとう神さま。チートの力よ。
 ついでに話者にもなれるよう、発話の力も付けて貰っておけば良かった。

「とりあえず、これも病の本っぽいし、借りていこうかな」

 ここの図書館の本は、基本的には貸し出しをしていないそうだが、そこは第一王子権限。
 貸出先も我が家と決まっているので、許可が下りた。

 期間は三日だというので、三日後に放課後返しに来ないといけないけどね。その分、また借りて帰れるからまぁ良いか。

 こうして、私は今度は七十二冊の本を借り、十冊は持ち帰り、それを学校の寮に運んで貰うよう依頼をしたのだった。

    ***

 「これは……古代セルート語じゃないの」

 図書館で見つけた、初めての言語の本。それは見たことがないのも当然だった。
 今は失われたという、古代語だったのだから。

 どの国にも古代語というものがある。それは、時代と共に使う言葉が変わり、民族が変わり、やがて忘れられ、失われていったものだ。
 その中でも、セルート大公国の古代語に当たる古代セルート語は、比較的新しい言語だった。

「タウンハウスの図書室に、言語の変遷に関わる本があって良かったわ」
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